心の底からうぇるかむ。

ようこそいらっしゃいました。

しがない超個人的映画レビュー兼データベースブログです。

今はまだ大した本数はありませんが、マイペースに増やして行きます。



しょっちゅう映画を観てる人も、たまにしか映画を観ない人でも、

ホンの少しでも参考になれば、この上なく嬉しいです。

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映画レビュー236 『かもめ食堂』

今月は毎日更新してたおかげか、ありがたいことにヒット数がちょっと増えました。

が、増えたら増えたで逆になんか変な陰謀に巻き込まれてるんじゃないかと

ドギマギする小心者がお送りしておりますなんプロです。



本日は自分でもビックリ、「キサラギ」以来約1年2か月ぶりに観ました邦画のご紹介です。

1年2か月なんて大したこと無いかもしれませんが、

観ている本数の割合からすれば1%にも満たないわけで、

まー自分が(映画好きの割に)邦画を観てないのがよくわかりますね。



かもめ食堂
監督荻上直子
脚本荻上直子
出演小林聡美
片桐はいり
もたいまさこ
ヤルッコ・ニエミ
マルック・ペルトラ
音楽近藤達郎
製作国日本・フィンランド
公開2006年3月11日 日本
上映時間102分
かもめ食堂










【あらすじ】

フィンランドのヘルシンキで「かもめ食堂」を営むサチエは、

初めて訪れた日本かぶれの青年にガッチャマンの歌の歌詞を聞かれるが思い出せず、

悶々としていた時に本屋で日本人らしき女性を見つけ、声をかける。



【総評】★★★★★★★☆☆☆(★7)


日本人の夢の映画。


てっきり日本が舞台の「ド邦画」なのかと思ってたんですが、

「フィンランドで暮らすサチエと、彼女が営む“かもめ食堂”と、

 彼女と出会った日本人旅行客のアレコレ」的なお話でした。



フィンランドと言えば、北欧、そしてサウナ。(個人的印象

全然詳しくないのでかなり適当な発言ですが、

なんとなく「北欧」というと、過酷にムイサーな気候とは裏腹に、

緩やかでノンビリ、良い人多そうみたいな印象なんですが、

まさにそういう空気が乗っかった映画で、

緩やかで心地良い、あくせくしないでノンビリ行こうぜ、という雰囲気。

これはきっと「日本人の北欧のイメージ」を大事に、

良い意味で“利用した”舞台を元に作り上げた映画なんでしょう。



そんなフィンランドが舞台とは言え、基本的には日本語だし、

主演3人も日本人なので、これはやっぱり「きっちり邦画」だなとは思ったんですが、

ただ僕の持つ邦画のイメージとはちょっと違って、

無理しない、背伸びしない等身大の脚本がすごく良くて、

逆にそこに監督の自信が見えた気がします。



例えば日本でも「24」をパクった映画とかドラマとか結構ありましたが、

軒並みクズなんですよね。当然のようにオリジナルは超えられないわけです。

パクリ自体はスタート地点としては決して間違ってないと思いますが、

自信がないから(もしくは考える頭がないから)そのまま安易に

フィニッシュまで持って行っちゃって大怪我するのが大体の日本の制作物。

でもこの映画はそうじゃない。

日本人そのままの姿で認めてもらいたい、っていう願望が見える映画というか。



ただ、「ありのままの姿で認めてください」っていうのは、

やっぱり地力がないとできないことなので、

それなりの自信がないと作れないんですよね。実は。

この映画にはそういう自信が間違いなくあったと思うし、

それをさらりと漂わせる程度に見せる辺りが、

女性監督らしいセンスなのかな、という気がしないでもなかったです。



その自信というのは、イコールでストーリーについても当てはまるんですが、

もう映画の主題自体が、「等身大の自分を受け入れてもらうこと」だと思うんですよね。

「かもめ食堂」のコンセプト然り、サチエの人生観然り。

ただ、「等身大の自分を受け入れてもらう」には、

上に書いた通り相当の自信か開き直りスキルが必要なわけで、

「飾らない自分を認めてもらって、肩肘張らない生活を送る」っていうのは

相当難しいことだし、きっと日本、とかく都会にいる限りは無理なんですよね。

時間に追われたりがんじがらめの日常に生きるのが基本になっちゃうから。



だから、その舞台をフィンランドに持ってきて、

日本では成立しないけど日本人が潜在的に望んでいる

“夢”を描いた映画なんだと思います。

日本人が好きな家庭料理は、「飾らない自分」の投影。

知らない土地=知らない人たちの前でも、自分は変えないで、

その良さを認めて欲しい、という願望。

それが認められて繁盛すれば、自分、ひいては日本人の肯定にもつながるんだ、と。

こういう生き方したいでしょ?すればいいんじゃない?っていうメッセージ。



もう一つ、重要なのが「答えを出さない」。

ところどころでいろんなエピソードが登場しますが、

特に結論は出さないんですよね。

「結局あれなんだったんだよ」みたいな形ではなくて、

なんとなく、ゆる~くいなしていくような流れ。

「あれ嬉しかったよね」とか「なんでああなったんだろうね」とか

そういう答えも問答も無くて、受け入れるだけ受け入れて、

のほほんとやり過ごしていく感じ。

この雰囲気が絶妙。

ケセラセラ…はもちろん日本人とは関係ないですが、そういう雰囲気。

この辺はきっと、今の日本人に対する戒めというか、

「もっと緩やかに、時間をかけて煮込んでもいいんじゃない?」みたいな

メッセージに見えました。

「先延ばし」って言葉の印象は悪いけど、でも逆に「今すぐ決めないと」ってことは

そうそうないんじゃないですか?っていう姿勢とでも言いますか。

この穏やかさがすごく心地よくて。

昼間観てたら寝てたな、っていう。いや良い意味で。



“かもめ食堂”の繁盛、そして周りの拍手は、

「日本人は日本人らしく、そのままで素敵なんだよ」という

“日本人から日本人へ”のエールだったんじゃないでしょうか。

そういう意味では、ものすごく「邦画」。

個人的には今週結構忙しかったので、良い感じにホッと一息つけさせてもらいました。

「空気感」を大事にできる人には、素敵な映画だと思います。



【このシーンがいいぜ!】

なんてこと無い序盤のシーンですが、最初にミドリがサチエの家に泊まるとき、

肉じゃが的なものが登場するんですよね。

コレ見ると、やっぱり日本人としては「いいなー肉じゃが食いて~」ってなるんですよね。

あそこで「ああ、俺やっぱ日本人だな」って再認識して、

この映画の意味を知ったような気がしたので、

さらりとしてるものの、この映画的にはすごくいいシーンだったな、と。



【ココが○】

上に書いたように、非常に穏やかにシンプルに、

でも強力に価値観を提示した映画だと思いますが、

その価値観がすごく良かった。

お金の話も、ミドリが給料いりませんって言った時ぐらいで後は全然出てこないし、

ごくごくうっすらと、「お金がすべて」という価値観のアンチテーゼにもなってたような。

考えすぎ?



あと、最後まで女性陣の関係性が変わらないところ。

ずっと敬語で話すんですよね。そこがイイ。

なんかそこでまた日本人らしい感じがより強く出てた気がします。



【ココが×】

当然ながら、非常に地味です。

それと、実はなにげに“映画スキル”が必要な映画だと思います。

さらりと観てるだけではさらりとしすぎてて何が面白いのかよくわからないんじゃないかと。

でもちょっと深く観よう、っていうスキルがあると、

裏のメッセージがいろいろ見えてくるような。

なんというか、スルメみたいな映画。



【MVA】

もーね、僕は完全にアノ世代なので、

(他でもよく見る組み合わせではあるものの)小林聡美ともたいまさこのコンビは

たまらないですね。やっぱり。

レイちゃんどうしたのレイちゃん!って何度思ったことか。

かと言って片桐はいりの代わりに室井滋が出てきたら「やりすぎ」だとは思うでしょうが。

と、言うことで今回はこの方。



もたいまさこ(マサコ役)



小林聡美もすごく良かったんですよね。

真っ直ぐで、でも大らかさがあって、かわいさもあるし。

この映画的には、いかにも主役だし、カンペキだったと思います。



が、でも。

もうなんなんですかね、後ろ姿だけで笑えるというこの人のすごさ。

かもめに餌をやる動き。

存在感がすごすぎる。かーや。

「きみちゃん!」っていつ言うのかとヒヤヒヤしてましたが、言いませんでしたねやっぱり。



あと“コーヒーおじさん”もいいなぁと思ってたんですが、

この映画の公開翌年にお亡くなりになったそうで…ビックリ。

この人も良い存在感があったんだけどなぁ…。ご冥福をお祈りします。





映画レビュー235 『ネットワーク』

GWから続いた連続更新も本日で一旦終了でございます。

やんややんや。観た観た。がんばった。

そんな感じで最近順調に消化してきたおかげで、

そろそろレンタル復帰も視野に入って来ました。

なんだかんだ言ってGWの「観たい映画を観る」というのはやっぱりいいな、と感じたので、

自分でも結構楽しみです。

どうでもいい報告でした。



…と書きながら思いましたが、逆に「どうでもよくない報告」ってあるんでしょうか。

逆に。

お前のプライベートなんて誰も興味ねぇよ、と今日も脳内悪魔の囁きを拝聴しつつ、

本日の映画はコチラ。



ネットワーク
Network
監督シドニー・ルメット
脚本パディ・チャイエフスキー
出演フェイ・ダナウェイ
ウィリアム・ホールデン
ピーター・フィンチ
ロバート・デュヴァル
音楽エリオット・ローレンス
製作国アメリカ
公開1976年11月27日 アメリカ
上映時間121分
ネットワーク










【あらすじ】

大手テレビ局のニュースキャスターを長年務めていたハワード・ビールは、

視聴率低迷の責任を取らされる形で二週間後に解任されることになり、

ヤケになった彼は「来週の生放送で自殺する」と予告、

それが功を奏して視聴率が上向き…。



【総評】★★★★★★★★☆☆(★8)


テレビ局の狂気を、鋭利かつリアルに描いた快作。


さすが社会派シドニー・ルメット

ここまで痛烈にテレビ局の「腐りっぷり」を風刺した映画を

自分が生まれるよりも前に作っていたとはいやはや感服いたしました。

この頃から既に、そしてさらに今でも、

テレビ局の常軌を逸した「人間(社会)のクズ」っぷりが変わらないという

事実には戦慄すら覚えます。



一人のニュースキャスターの「捨て身の攻撃」が耳目を集め、

やがて彼が預言者じみた狂人と化していく中で、それに群がる視聴率至上主義者たちと、

その主義が行き着く先を描いた映画です。

物語としてはかなり脚色の匂いが強く、

「いやいやそこまではやらんでしょ」と思えるような内容なので、

人によっては「やりすぎ」とか「逆に嘘くさくてよくない」と思うでしょう。



が。

僕はこれほど真実に迫ったメディア像というのは他に観たことがないですね。

これはもう、自信を持って言えます。





テレビ局ってのは、腐ってるんですよ。





もちろん、真面目に真剣に働く人たちも多いですが、

大体、「稼ぐのが企業の勤め」と思ってる上層部には腐った連中しかいません。



しかも、「真面目に真剣に働く」=視聴率を取ることだと本気で信じている人、

この映画では最もそれを体現していた、

フェイ・ダナウェイ演じるダイアナみたいな人が最も迷惑という事実。



ご存じのように、テレビ局に限らず、新聞なんかも含めたマスメディアというのは、

多分に公的な役割を担ったものです。

特に報道なんて部署はその最たるものですが、

そこが“視聴率”を追い求めたらろくなことになりません。

“視聴率”なんて言えばまだ聞こえはいいですが、

つまりはスポンサーからいかに金をふんだくるか、

もっとわかりやすく言えば、いかに儲けるか、でしかありません。

公的な役割を担った報道が、儲けを最優先することで

いかに下衆に成り下がっていくのか、その“成れの果て”を

これほど痛快に、わかりやすく描いたというのが気持ちよく、

(グローバリゼーションに対する表現なんかも合わせて)いまだに通用する

先見性溢れるストーリーは本当にスゴイ。



劇中、狂った(でも正しいことを言っている)ハワードが、

「テレビは真実じゃない、遊園地なんだ」みたいなことを言うシーンがあります。

これはすごく的を射た表現だと思います。

過激に煽って注目されればいい、真実なんて二の次だし、

なんなら真実なんて俺らが作ればいい、なんて平気で思ってるのが

この世界で“成功”している人たちです。

いかにテレビ局がモラルからかけ離れた世界にいるか、

そしてそういう世界を信じこまされて生きている人たちの愚かさがいかほどのものか、

よーくわかる映画になってます。



もう既にその兆候は見られているとは思いますが、

僕は十数年後ぐらいの、割と近い未来に、

今あるテレビ局(特に民放)の地位は決定的に凋落していくと思っています。

が、この映画が自分が生まれるよりも前に作られていたことを考えると、

なんだかんだ言ってしぶといのもまたテレビ局なのかな、と思う部分もあり、

ちょっと気が重くもなりました。

所詮「大衆はバカ」、以前に比べれば圧倒的に

一般人のメディア・リテラシーも進んだと思いますが、

それでもやっぱり、根本的に「受動的に情報を受け取るだけ、ということに疑問を持つ」

感覚を持った人がもっと増えない限りは、変わらないのかもしれません。



一応最後に書いておきますが、僕は毎度メディアを叩きはしますが、

別にテレビ局に個人的な恨みがあるわけではありません。

むしろお世話になったこともあるし、いまだに友達が働いてたりもします。

そもそもこんな力のないクソ野郎が1桁ヒットのブログで何を吠えたところで

意味が無いのは重々承知もしているわけですが、

ただ、今のテレビを見て、何も疑問を感じずに、

「面白いよね、いいこと言うよね、情報源はやっぱりテレビだよね」

なんて人がもしいたら、それはものすごく不幸なことだと思うんですよね。

なんというか、純粋すぎる。

“金儲け”が大事だと思ってる人たちが情報を発信する側にいれば、

その発信される情報には何らかの作為がある、というのは少し考えればわかることで、

テレビ局もその例外ではない、ということには気付くべきでしょう。

そしてそういう“気付き”のきっかけになり得る映画として、

この作品があるという結論というか。

ぜひいろんな人に観て欲しい映画ですね。

「わかっちゃいたけど意識はしてなかった」みたいな世界の話だと思います。



【このシーンがいいぜ!】

フェイ・ダナウェイとウィリアム・ホールデンの会話はどのシーンも印象的でしたね。

一つ挙げるなら、最後の二人の会話でしょうか。

僕が思ったことをそのままストレートにセリフにしてて、結構ビックリ。



【ココが○】

映画とてメディアであり、テレビ局とは持ちつ持たれつだったりすると思うんですが、

これだけ痛烈にテレビ局を皮肉る映画を作れた、というのはすごいですね。

日本だったらもっとテレビ局と映画製作(おまけに出演者も)が近い関係なので、

絶対にこういう映画って作られないんですよね。

ここはやっぱり、アメリカのすごさだな、と。

しかもこんな昔に作ってるのが。



くどいようですが、日本の場合、テレビも新聞も映画製作も、

みんな同じメディアグループの参加にあるので、どれも身内なんですよ。

「この映画がスゴイ!」なんてテレビで言ってるところで手前味噌だらけ。

あの番宣&自前映画紹介しかしない今のテレビの作り方、

頭が悪すぎることになんで気付かないのかな…。

作る側も、見る側も。



【ココが×】

若干、中盤間延びした印象はありました。

最後まで観ると、どれも伏線になっていたりして大事ではあるんですが、

でも「ずっと高いテンションで終始惹きつけられる」って映画ではないです。

社会派だけに、余計に。



【MVA】

役者陣がまたまぁ~良かったですね。

どの人もすごく印象的で、素晴らしかったです。

普段であれば、間違いなく「一番まともな」マックス役のウィリアム・ホールデンを

選ぶところですが、この映画はこの人がすべてだな、と思ったので…。



フェイ・ダナウェイ(ダイアナ・クリステンセン役)



編成権を持つ敏腕プロデューサーという役どころですが、

まさに“狂ったテレビ人”。

「こいつ…まさに“テレビ”そのものだな」と思って観てたら、

実際そう言われるシーンがあってビックリ。(上の「このシーン」に挙げたシーン)



本当にモラルも何もなく、頭の中は視聴率だけ、

最終的には…という話なんですが、こういう人、いるんですよね。実際。

終盤近くの晴れやかなスピーチの寒々しさったら無かった。

テレビの狂気を具現化した、ある意味ホラーのような存在でした。

素晴らしい演技。





映画レビュー234 『雨に唄えば』

お気付きのように、去年後半から今年前半までの鑑賞本数と比べて、

最近は鑑賞本数が結構増えてきました。

これは、その減っていた時期に女性の影があり、その女性とは終焉を迎え…!



ということは(もちろん)一切無く、簡単に言えばFF11に熱中→一気に醒めた、という

自分の中での娯楽時間の比率の変化によるものです。

これはきっとまた(アチラのバージョンアップとかで)比率が動くと思うので、

更新頻度に違いが出ると思いますが

特に気にしないでくださいって別に気にしないですよねそうですよねわかります。



雨に唄えば
Out of Sight
監督ジーン・ケリー
スタンリー・ドーネン
脚本アドルフ・グリーン
ベティ・コムデン
出演ジーン・ケリー
デビー・レイノルズ
ドナルド・オコナー
ジーン・ヘイゲン
音楽ナシオ・ハーブ・ブラウン
レニー・ヘイトン
製作国アメリカ
公開1952年 アメリカ
上映時間102分
雨に唄えば










【あらすじ】

サイレント映画全盛だった時代が終わりを告げ、突如やって来るトーキー映画の波。

その転換期にスターだった人たちのアレコレをコミカルに描くミュージカル。



【総評】★★★★★★★☆☆☆(★7)


軽快でハッピー。


そもそも観ておいてなんですが、僕はミュージカルって好きではないのです。

やっぱりどっか不自然ですからね。ストーリーすっ飛ばして入ってくるから。

それでもこの映画は、「ミュージカル以外」のシーンのテンポの良さ、

軽快なコメディっぽいノリがライトで観やすく、

またミュージカルシーン自体も普通に「すげー」と感心しちゃう出来の良さ。

主演3人の動きがキレッキレで観てるだけで楽しくなる、っていうのもわかるなぁ、と。

もちろん、音楽自体もイイ。



サイレントからトーキーへ変わっていく時代、

こういう話って結構あったんだろうなぁと思いますね。

完全に「見た目だけ」の女優が、そのプライドでかき回してくれるというお話。

この映画はコメディタッチなのでリラックスして観られますが、

もっとオドロオドロしい骨肉の争いも当然あったんでしょう。

その辺を皮肉る話でもあったのかもしれません。



が、そういうおどろおどろしさは置いといて軽快に仕上げてくれたおかげで、

非常にハッピーな映画だったのが良かった。

もう主演のジーン・ケリーと相方のドナルド・オコナーの笑顔がその雰囲気を物語ってます。

とことんハッピーに、楽しまなきゃ人生損だぜ!というこの時代の勢いを感じます。



話がちょっと逸れますが、最近、これだけ映画を観てると、

やっぱり「映画の良さってなんだろう」って考えるんですよね。

100%の答えは(当然)見つからないんですが、

一つ、この前「ライムライト」を観た時に思ったのが、

「昔の名作を後世に残そうとする文化」じゃないかな、と。



そもそも「ライムライト」を観たのは、

「午前十時の映画祭」上映作品だったということと、

チャーリー」でチャップリンという人間そのものに興味が湧いた、

というのが主な理由だったんですが、この映画も「午前十時の映画祭」上映作品だったし、

こういう「昔の名作を後世に残そうとする文化」自体が、

いろんなリスペクトの上に成り立っているし、

その文化を紡ぐことで、今の制作者たちにも無意識の“心意気”を

与えてくれてるんだと思います。

そういうバックボーンを背負った上で、また新しいものにチャレンジしていく、

その積み重ねで、よりいいものが作られていく、

だから飽きないし、観たい映画ってなくならないのかな、とふと思いました。



この映画の時代よりもさらに前の時代への懐古を想起させる

「アーティスト」(まだ未見ですが)がアカデミー賞を受賞した、というのも、

そういう部分でなんだかいろいろ考えさせられます。



最初に書いたように、僕はミュージカルが好きではないので、

そういう意味で絶賛する気になる映画ではありませんが、

主演3人の笑顔のパフォーマンスを観ていて、

60年の時を超えて現代にエネルギーが届くものを残してるすごさというか、

見た目は完全に「娯楽」でも、やっぱり映画って「文化」なんだな、

となんかしみじみ感慨深いものを感じましたねぇ。



【このシーンがいいぜ!】

ミュージカルは好きじゃない、と言いながら、

やっぱり主演3人の「グッドモーニング」のシーンかなぁ、と。

歴史に名高い「雨に唄えば」ももちろん良かったけど、

“この映画っぽい”という意味では、「グッドモーニング」じゃないかと思います。



【ココが○】

ハッピーな雰囲気に尽きますね。

軽快な音楽にテンポの良いシーン展開が上手くハッピーさを演出してます。



【ココが×】

当然、ミュージカルらしい「唐突さ」は随所に見られるので、

そこがこの映画(というかミュージカル映画)らしいし、

おそらくこの映画をベタ褒めするか否かの境目でしょう。



【MVA】

ジーン・ケリーの笑顔のパフォーマンスも良かったんですが、

この映画はもうこの人だな、って迷わず思いました。



ドナルド・オコナー(コズモ役)



大スター・ドンの親友であり、裏方なんですが、

ノリの良さ、いい意味での“軽さ”がこの映画らしい雰囲気を作ってたと思います。

お茶目で、でも動きはキレッキレ。

序盤の彼の“見せ場”もすごくよくて。

「お前やるな!」って認められてスターになるのかと思ったら

何事も無く次へ進んだという。ビックリ。

落ち込んだりもせず、終始サービス精神の塊のような彼のキャラクターは、

この映画の「ハッピーさ」の代名詞でしょう。





映画レビュー233 『アウト・オブ・サイト』

今週から、人物ページの更新も平日にシコシコやっとります。

一応、言い訳がましくご報告まで。シコシコ。

まあ特段興味のある人もいないでしょうが。



アウト・オブ・サイト
Out of Sight
監督スティーブン・ソダーバーグ
脚本スコット・フランク
出演ジョージ・クルーニー
ジェニファー・ロペス
ドン・チードル
ヴィング・レイムス
デニス・ファリーナ
アルバート・ブルックス
音楽デヴィッド・ホルムス
アイズレー・ブラザーズ
(主題歌「It's your thing」)
製作国アメリカ
公開1998年6月26日 アメリカ
上映時間123分
アウト・オブ・サイト










【あらすじ】

ベテラン銀行強盗犯のジャックは、刑務所から脱走する時に

たまたまその場に居合わせたFBI捜査官のカレンを誘拐、

一緒にトランクの中で過ごすうち、お互いが「異性」として意識し始めるのだが…。



【総評】★★★★★★★☆☆☆(★7)


さながら「オーシャンズ5」ぐらい?


監督はスティーブン・ソダーバーグ、主人公はジョージ・クルーニー

おまけに彼は銀行強盗犯、人間味のあるキャラクターはいかにもダニエル・オーシャン。

昔の刑務所仲間兼キーパーソンにドン・チードル

挙句の果てに音楽はデヴィッド・ホルムス



もう「オーシャンズ」シリーズファンなら始まって数分で、

「オーシャンズっぽい!」と興奮すること間違いなし。



話の規模はだいぶ小さく、ドンパチもあるので、

僕の好きな「オーシャンズらしさ」はだいぶ薄味にはなってますが、

いやこれはやっぱり「オーシャンズ」の原型だな、と思わずにはいられません。

「スト2」に対する「スト0」みたいな。

「DXY!」に対する「Random Beat」みたいな。(いきなりマニアックな例え



「オーシャンズ」と比べれば、仲間が少ない&友情要素は控えめ、

その分恋愛要素を濃い目にして、そちら好き方面にウケをよくした感じ、

と言えばわかりやすいでしょうか。

勢いやシナリオの深さもやや弱く、はっきり言えば「まあまあ」な映画なんですが、

ソダーバーグらしい(やりすぎない)オサレ演出と、

どこか間の抜けた憎めない登場人物たち、

そしてデヴィッド・ホルムスの音楽(コレ、かなり大きいと思う)が

もう「オーシャンズ臭」を最大限に盛り上げてくれます。



ぶっちゃけ、映画自体としては大して面白いとは思わなかったけど、

この雰囲気がまた新しく(古いけど、初見という意味で)観られた、という点だけで

「オーシャンズ完全肯定応援団長」としては嬉しいことこの上ない。

また作ってくれないかなー、こういう映画。



恋愛要素に関しては、まあいろいろツッコミどころもありますが、

やっぱりちょっと普通の恋愛モノよりもオトナっぽく、

サラリとかっこいいのがこれまたスティーブン・ソダーバーグらしい。

こういうオトナの恋愛、いいですねぇ。憧れますねぇ。



と言ってるうちにオトナを通り越してジジイになる、と。

わかります。

きっとそうです。



【このシーンがいいぜ!】

最初の銀行強盗のシーンはもう「おおっ、オーシャンじゃないか!」と

嬉しくて仕方がなかったですね。

確かこんなシーン、あった気がするし。「12」のオープニングかな?

あれ、この映画のセルフオマージュみたいなイメージなんでしょうか。

ファンにはたまりません。



【ココが○】

やっぱり雰囲気、それがすべてですよね。

「みんな抜けた感じ」がやっぱりそれっぽくて。

悪いヤツは悪いので、その辺はちょっと違う感じはありますが、

それでもこの雰囲気は他に無い、気楽に観られる良さがあります。

「オーシャンズ」シリーズ好きなら一回観てみてもいいんじゃないかと。



あと、昔の刑務所仲間感の会話で、

一歩も引かないジャック&バディコンビのかっこ良さ。

こりゃーなかなかでしたね。



【ココが×】

どうもストーリーがイマイチ盛り上がりに欠けるんですよねぇ。

結局のところ、「オーシャンズ」シリーズが好きじゃない人からしたら、

もうこの映画って結構救いようのない駄映画になりかねないような気もします。

「何よ変に気取ってイケ好かないのよ!!」って思われるだけ、みたいな。



なので、「オーシャンズらしい」というのはイコール、

「あのシリーズが嫌いな人は観るだけ無駄よ」とこれまた自信を持って言えるかな、と。



【MVA】

キャストもなかなかよく、この映画でジェニファー・ロペスが売れた、

というのもなんかわかりますね。カッコ良かった。

そしてまた「12」のキャサリン・ゼタ=ジョーンズと若干カブリ気味だったのも

「らしい」っちゃらしい。



ジョージ・クルーニーはまんまオーシャンだったので除外として、

残るはこのお方。



ヴィング・レイムス(バディ・ブラッグ役)



冷静で頭の良さそうな、良識派っぽい犯罪者風なキャラでありながら、

姉に懺悔の電話をしては売られる実はおバカな男。ジャックの相方。

イイヤツなんだよねー。

大体この人(ヴィング・レイムス)ってこういう役が多い気がする。

「ミッション:インポッシブル」シリーズにしてもそうだし。(こんな抜けてないけど

こういう大柄だけど優しい黒人さん、って好きなんですよねぇ。

安定感と安心感を与えてくれる、ナイスな配役でした。





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