なんかのプロジェクトM

なんのプロジェクトかは不明です。 そして「M」はムラムラの略です。 年中ムラムラ。

ようこそいらっしゃいました。

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映画レビュー界のスラム街と言われる、しがない超個人的映画レビュー兼データベースブログです。

基本的にネタバレ無し、「無知識無教養も恐れず感じたことを正直に書く」ことを信条にしております。

たまに毒を吐きます。

細々と続けながら、ようやく500本を突破しました。

これからもマイペースに増やして行きます。



しょっちゅう映画を観てる人も、たまにしか映画を観ない人でも、

ホンの少しでも参考になれば、この上なく嬉しいです。

コメント・トラックバックも大歓迎。お気軽にドウゾ。






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映画レビュー702『ハタリ!』


今日もBS録画から、古い映画です。

最近Netflixの配信終了間際作品があんまりないのと、古い映画観たい欲が強い時期なのと、

レコーダーの容量がキツイのとでBS優先になっております。



ハタリ!
Hatari!
監督ハワード・ホークス
脚本リイ・ブラケット
原案ハリー・カーニッツ
出演ジョン・ウェイン
ハーディ・クリューガー
エルザ・マルティネッリ
レッド・バトンズ
ジェラール・ブラン
音楽ヘンリー・マンシーニ
製作国アメリカ
公開1962年6月19日 アメリカ
上映時間159分
ハタリ!












【あらすじ】

アフリカで動物たちを捕らえ、動物園やサーカスに売る仕事に携わるショーンと仲間たち。

来る日も来る日も猛獣たちと戦う彼らの元に、動物園から派遣された女性カメラマン・ダラスがやってきた。



【総評】★★★★★★★☆☆☆(★7)


ピークが無いものの、アフリカの魅力がたっぷり。


ハワード・ホークス監督ということで、この前観た「男性の好きなスポーツ」の衝撃醒めやらぬこのタイミング、

よっしゃもいっちょゲラゲラ笑わせてもらおうやないかい! と鼻息荒く観始めたんですが、全然コメディじゃなくてですね。

確か番組紹介には「アドベンチャーコメディ」ってあったハズなんですが。全然コメディじゃなくてですね。

当時としてはおそらく珍しい、アフリカ現地にて大量の動物たちを相手に生々しく展開するハンティングがウリの

アドベンチャーアクションドラマという感じでしょうか。ジャンル的には。

ご存知大スター、ジョン・ウェイン演じるショーン・マーサー率いるハンティンググループが、

アフリカで大量の動物捕獲依頼をこなしながら、その中に渦巻く恋模様と人間関係を描いた大作です。



今のこの手のお仕事がどうなのかサッパリわかりませんが、少なくともこの頃は、

ある程度まとまった捕獲依頼を一定のシーズンにこなし、終了したら動物たちの移送手続きをして

自分たちは休暇に入る、みたいな…マグロ漁船みたいな営業スタイルって言うんですかね。

一時期ウワーっと詰め込んで働いて、ノルマ終わったらしばらくおやすみ、みたいなお仕事のようです。

そのある繁忙期を描いた映画なわけですが、どの動物がどれぐらい必要でどーたらこーたら、みたいなものは特に重要でもなく、

その「ハンティングシーズンに動物を追いかけながら仲間たちの色恋沙汰もいろいろあったよ」というお話になっていまして、

核としてはオープニングで彼らのキャンプにやってくる女性カメラマン・ダラスとジョン・ウェイン演じるショーンの関係と、

現地で彼らを雇う立場にある若いボスガール・ブランディと彼女を狙う男3人の駆け引きが中心。

とは言ってもドロドロしたものではなく、爽やかである意味かわいい、この頃らしい娯楽映画という佇まい。



結構話としてはフツーで、よくある色恋&仕事仲間たちのお話ではあるんですが、

やっぱり何と言ってもアフリカのロケがなかなかの迫力で、50年以上前にこの映像はすごいな、と結構驚きました。

たまに合成のシーンも挟まるものの、基本は現地でトラックに乗りながら動物たちを追いかけ、

全速力で逃げる彼らに縄をかけて生け捕りにするシーンが何度も登場します。

正直、動物好きとしては根本的に「こういうやり方ってどうなんだろう」という複雑な思いが無きにしもあらずではありましたが、

しかしまあ…産業として動物園やらサーカスやらが成り立っている以上、こういうお仕事が必要なのもまた事実なわけで、

その辺りは割り切って観ていました。もうちょっと太くて柔らかそうなロープ使ってあげてよ、とか思いつつ。

しかし映画とは関係ないですが、今ってどういうやり方しているんでしょうね。麻酔銃で一発、とかなのかな…。

時代故当然なんでしょうが、かなりアナログで運と腕が物を言いそうな仕事は効率も悪くて大変そうで、

「すげーな、こんな苦労してたのか」とこれまた新鮮な驚きがありました。



とは言えそのハンティングのご紹介が目的の映画ではないと思うので、核の部分がどうなんだというお話なわけですが…。

長さの割にはテンポも良くて飽きずに観られる面はあったと思いますが、反面その分やや散漫な印象もあり、

エピソードの多さの割に感情移入しにくい作りだったかなぁ、という気はしました。

好みにもよるんでしょうが、「こいついいな!」みたいな魅力的な人物がいるわけでもなく、

動物追う→ちょっと色恋進む→動物追う→進む→動物追う→象→動物追う→色恋→動物追う→象…みたいな感じで

割と盛り上がりに欠ける面はあったような気がします。

動物を捕まえるシーンも、リアルな分迫力はあるし見入っちゃう魅力はあるんですが、

とは言えエラい苦労するわけでもないので、イマイチグッと来る“何か”が無いなぁ、とぼんやり観ちゃう面もあり、

何かもうひと味足りない、そんなような印象の映画ではありました。

それなりに長尺なので、どうせならショーンの過去のお話とか、なんでダラスがショーンに惹かれたのかとか、

その辺の描写がもうちょっとしっかりあったらまた違ったかな、と思います。

さすがに言わずと知れた大スターが主役なだけに仕方がないとは思いますが、今の時代から見ると、

50代後半のオッサンに30前の女子が来ていきなり「あの人いいかも」はちょっと嘘くさいかな、と。

この映画のジョン・ウェインがどことなくジェフリー・ラッシュに似ていたこともあって、

鑑定士と顔のない依頼人」的な想像をしてしまう恐怖もあったかもしれません。ごめんなかったそれは。



なんというか…やっぱり全体的にのめり込むような何かがなかったので、そのままレビューもぼんやりしちゃってごめんなさい、

というお決まりの展開になったことをお詫び申し上げ、筆を置きたいと思います。っていうかキーボードなんだけど。

っていうかキーボード置いて打ってるからそのままなんだけど。そんな詳細いらないよっていうね。ごめんなさいね。



しかしアレだね。

動物って足速いね。



【このシーンがいいぜ!】

劇中一度だけ「ハタリ!」ってセリフが出てくるんですが、そこかなと。ああいうのを期待して観てたので、もっとクレよと。



【ココが○】

何を置いてもアフリカの映像。全速力で走る動物たちだけでも結構な迫力がありました。

あと象かわいい。リアル象であれだけかわいさを出せるのはスゴイ。



ちなみに余談ですが、この映画では「子象の行進」という誰もが聞いたことのある超有名な曲が登場します。

子象の行進

てっきりこの頃からおなじみの曲なのかと思ってましたが、調べたらこの映画のためにヘンリー・マンシーニが作曲した曲だそうで、

昔から知る曲のルーツが知られてちょっと嬉しかったですね。



【ココが×】

特にひどく何かがダメ、っていうのは無いんですが、同様に特に際立ってどこが良い、というのもないという感じで。

ちょっと期待しすぎちゃったかなぁ。



【MVA】

これまたあんまり「この人!」って感じは無かったんですが、この人にしときます。



エルザ・マルティネッリ(アンナ・マリア・“ダラス”・ダレッサンドロ役)



たまたまなんですが、この映画を観たつい先日にお亡くなりになったそうで…。満82歳。ご冥福をお祈りします。

この頃はまだ20代、さすがに若くてかわいい。ぴっちぴち。

ちょっとしたサービスショットもあり、はつらつ爽やかな印象で役に合っていたと思います。




映画レビュー701『グレートレース』


レビューはストックしておいて土日に小出しにしているのでわかりにくいんですが、

実は最近いろいろと(ありがたくない意味で)バタバタしていて映画を観るのは久しぶりだったりします。

ちなみに本日は7月16日、週末にはいよいよスプラトゥーン2ということで、より映画を観る頻度が減りそうな予感…。

今日もBS録画より、古い映画です。



グレートレース
The Great Race
監督ブレイク・エドワーズ
脚本アーサー・A・ロス
原案ブレイク・エドワーズ
アーサー・A・ロス
出演トニー・カーティス
ジャック・レモン
ナタリー・ウッド
ピーター・フォーク
キーナン・ウィン
音楽ヘンリー・マンシーニ
製作国アメリカ
公開1965年7月1日 アメリカ
上映時間160分
グレートレース












【あらすじ】

ニューヨークからパリまでの壮大な自動車レースの開催が決まり、冒険家として名高い「グレート・レスリー」と、

常日頃から彼を目の敵にして罠を張り巡らせるも失敗ばかりのフェイト教授&マックスのコンビが出場を決める。

さらにその取材のためと女性記者も参戦し、個性豊かな面々が競う「グレートレース」が今、始まる…!



【総評】★★★★★★★★☆☆(★8)


ジャック・レモン大先生と

ピーター・フォークによるワイリー・コヨーテ。



「ニューヨークからパリてwwwwww」と思ってたら実際に1908年に行われたレースを元に作られたお話とのことで、

さすが1900年代前半、何もかも勢いのあった時代だなぁと感心しきりでしたが、そんな若干実話含みのレースを描くコメディ映画でございます。

予告番組を観た時に「なんかチキチキマシン猛レースっぽくて面白そうだな!」と思って録画したんですが、

実際チキチキマシン猛レースはこの映画が元ネタだとか。

そう、まさにあんな感じなんですよ。イメージ的に。って言ってももう今時「チキチキマシン猛レース」自体通じない気もしますが…。

僕ですらリアルタイムでは無かったですからね。あれ。その後のいろいろで目にして知ったようなもんで。

まあそんなわけでですね。どんなわけかわかりませんけども。

割と荒唐無稽なマシンを操る人たちが「グレートレース」優勝をかけて戦う…話なんですが、

実際はほぼグレート・レスリー vs フェイト教授&助手のマックスチームの戦いです。

そこにキーマン的な女性新聞記者・デュボアが図らずも引っ掻き回してくれますよ、というコメディ映画。



尺からわかる通り結構長めの映画なんですが、序盤…つまり「グレートレース開催」までがそこそこ長く取られていまして、

この序盤戦で「グレート・レスリーに対抗心を燃やし、罠にはめようとする教授コンビ」と、

各々がグレートレース用のマシンを用意している様を描いているんですが、この序盤戦がちょー面白かった。

「サイレント映画の手法やギャグが多く使われている(by wikipedia)」そうですが、

なるほど確かにそういう感じで。

これまた「男性の好きなスポーツ」同様、ベタなんだけど笑っちゃうド直球ギャグがたまらなかったですね。

もうバカバカしくてバカバカしくて、わかってるんだけど笑っちゃう、的な。



で、ニヤニヤ笑いながらこれなんかに似てるなーと思って考えていたんですが…思い出しました。

ロード・ランナーですよ! あの!

いや、あの穴掘るロボじゃなくて。ハドソンのアノ人じゃなくて。アニメの方のです。

これまた知らない人多そうですけどね…僕の周りでは大流行りだったんですけどね…。

鳴き声が「ミ・ミ!』っていう。バッグス・バニーの番組内でショートアニメで出てきたやつですよ。あの。

ロード・ランナーがグレート・レスリー、そして彼を捕らえようと様々な罠を駆使するも失敗に終わる

ワイリー・コヨーテがフェイト教授とマックスのコンビだな、と。

あれを知っている人ならすごく伝わると思うんですが、まさにあの感じのやり取りを前半繰り広げてくれまして、

これがまあ楽しい楽しい。

教授コンビの技術力なんて今の時代から見てもすごいし、絶対才能あるんだけどバカ過ぎて失敗するっていう。

そういうところも非常に最高でですね。たまらなかったですねほんと。

んで、そのフェイト教授を演じるのがあのジャック・レモンですからね。

僕が今まで観てきたジャック・レモンとはだいぶ違う、ガサツでウルサイ感じのキャラクターでしたが、

まあもうそれはさすがジャック・レモン大先生のことですから。ひたすら「レモンすげぇレモンすげぇ」と思いながら観てました。

後半、彼は1人2役で別の役でも登場するんですが、これがまたすごい。すごいアホ。

コレ以上にアホっぽい人って演じられるんだろうか、っていうぐらいにアホ。

もうね、ほんとにジャック・レモンが好きであれば必見の映画だと思います。素晴らしいです大先生。

そして相棒のマックスを演じるのは、あの刑事コロンボでおなじみのピーター・フォーク若かりし頃の。(倒置法)

これまたイメージにないすっとぼけ感満載で素晴らしくてですね。なんて豪華なバカ映画なんだ、と嬉しくなりました。



という感じでかなり楽しんでいたんですが、しかし。

後半、その二役目のレモン大先生が登場する辺りから、ちょっとそれまでのバカバカしい単純コメディから

若干込み入ったお話になって来るんですね。レースじゃねーだろそれ、っていう感じの話に。

ここでやや複雑にした…というか、変化球主体になっちゃった感じがしてテンションダウン。

一本調子で最後までは飽きちゃうし難しい、っていう事情もわかりつつ…でもちょっとここでガクーンと間延びしちゃった印象で、

あろうことか結構眠くなったりするぐらい、急激に冷えていきました。僕の気持ちが。

これがねー、非常に残念でしたね…。

が、眠くなってるところに突然「男爵のお別れシーン」をぶち込んできたりするので油断できません。目も覚めます。

っていうかあのシーンいらんやろ!!(最高)

っとこの辺はご覧いただくとして。



僕としては前半戦の超楽しい時間のおかげで後半戦に対する期待もひどく膨らんでいたので、

後半やや失速気味な展開になってしまったために鑑賞後はちょっと残念感があったんですが、

でもやっぱり振り返ると最高だったな、と。

この映画のウリの一つが「映画史上最大のパイ投げ合戦」らしいんですが、もうこのウリ自体がバカすぎる。

シーン自体の意味もまったくなくて、もうバカバカしすぎて最高。そういう映画です。

なんとなく思ったんですが、コサキン(小堺一機と関根勤)の二人が超好きそう。この映画。

いや絶対好きだわ。確信を持って言える。

そんな映画でした。



【このシーンがいいぜ!】

まずオープニングがちょー良かったですね。油絵紙芝居的な温かい味のあるオープニングで。ああいうのは全然古くならなくていいなー。

一番笑ったのは、デュボアがフェイト教授宅に訪ねたときの「マァーックス!」。マックスとばっちりで最高。

もうほんっと最高ですから。このシーン。

「頼む…! レモン大先生『マァーックス!』って言ってくれ言ってくれ…言ったー!」って感じで。笑った笑った。



【ココが○】

上に書いた以外で言うと、地味に美術面が良かったですね。

まずグレート・レスリーの乗る車が(今から見るとアンティーク的に)ちょーーーかっこいい。めちゃくちゃかっこいい。

あとフェイト教授の屋敷の中もすごくかっこよかったですね。ゴシックホラーな感じというんでしょうか。

いかにもマッドサイエンティストが住んでそうな感じのセットで、もう本当に素晴らしいんですよ。

ゲーム「ヴァンパイア」に出てきそうな屋敷。わかる人ならグッと来るのもわかるでしょう。



【ココが×】

やっぱりちょーっと後半の「寄り道」がなぁ…。あそこでテンポが犠牲になっちゃった気がします。

あそこもハイテンションで突っ切るような内容だったら、かなり満点近かった気がする。



【MVA】

グレート・レスリーを演じるのはトニー・カーティス、あの「お熱いのがお好き」でジャック・レモンと女装したお方です。

そしてヒロインがナタリー・ウッド。良い感じにかき回す役割をエロかわいく演じる、という完璧な役回りでした、が…!



ジャック・レモン(フェイト教授/皇太子ハプニック役)



1人2役のこの人には勝てなかった。っていうかこの人がすごすぎた。

この人を超えるコメディスターって出てくるんでしょうか。もう時代的に無理な気がする…。

大変堪能させて頂きました。ごちそうさまでした。




映画レビュー700『男性の好きなスポーツ』


この映画を観終わった直後、NHKを付けて作業してたら「みんなのうた」をやってまして、

へぇーこんな時間(ちょうど日付越えたぐらい)にやってるんだーと付けたまま作業を続けてたら

「ラジャ・マハラジャー」って曲が流れてきたんですよ。

まさにこれが流れるその瞬間まで30年近くは忘れていたはずなんですが、

始まった途端に「あっ!!!」とまさに雷に打たれたように

過去の記憶がよみがえり、かつてこの怪しい切り絵を使った映像(今観るとすごく良いデザイン)と、

戸川純(すでにこの人が懐かしい)の歌うこれまたちょっと怪しい曲調に得も言われぬ恐怖感のようなものを

抱いていたことを思い出し、しばし懐かしさでじっくり観てしまいました。

急に昔に引き戻されたようなあの感覚、歌ってすごいですね。

やっぱり歌と匂いは記憶を呼び覚ます力がすごいと思うなー。



さて、記念すべき700本目(かつ偶然の当ブログ1000記事目)はBSよりこちらの映画。

もうタイトルがすげーなと思いつつ、ご紹介番組で観てちょっと面白そうだったので録画。



男性の好きなスポーツ
Man's Favorite Sport?
監督ハワード・ホークス
脚本ジョン・フェントン・マレー
スティーブ・マクニール
原作パット・フランク
『The Girl Is Almost Got Away』
出演ロック・ハドソン
ポーラ・プレンティス
マリア・ペルシー
ジョン・マッギーバー
シャーリーン・ホルト
音楽ヘンリー・マンシーニ
製作国アメリカ
公開1964年 アメリカ
上映時間120分
男性の好きなスポーツ












【あらすじ】

釣具販売の会社に勤めるロジャーは、釣りマニアのバイブルとされる書籍も執筆し、顧客から絶大な信頼を受ける“釣りのプロ”。

ある日ロジャーは会社の社長から、宣伝のために競技会に参加するよう言われるも頑なに固辞する。

それもそのはず、ロジャーは知識だけの“エセプロ”で、実際に一度も釣りをしたことがないド素人だった。



【総評】★★★★★★★★★★(★10)


笑撃の面白さに打ち震える。


打ち震えるはちょっと大げさですが。(いきなりの否定

でもホント、さして期待もせずに観てたこともあってか「うわこの映画めっちゃおもろいわ」とずっとニヤニヤしながら

大変楽しませて頂きました。過去に観てきたコメディの中で一番好きな映画かもしれない。いやきっとそう。



この映画はいわゆる「スクリューボール・コメディ」と呼ばれるものらしいです。

「スクリューボール・コメディ」とは、今で言ういわゆるロマコメのようなもので、

野球の変化球(スクリューボール)のようにちょっと変わった男女が喧嘩をしながら恋に落ちるコメディのことを言うそうな。

最近「俺も映画詳しくなったなーうへへへ」と一人満足感に浸っていたんですが、

スクリューボール・コメディの意味はまったく知りませんでした。えへ。

てっきりもっとシュールで文字通り変化球な感じのコメディ映画のことかと…。まだまだ日々勉強でございます。



ここでご説明だ!

主人公のロジャーは釣具販売の会社に勤めるトップセールスマン。多分。

「釣りベーシック」的な本も出版し、これが釣りマニアたちのバイブルとして親しまれていて、

さらに「10時頃にフライを使ってマスを狙うと良いですよ」等のアドバイスも的確という、

釣りマニアたちの間では教祖様的な存在と言えましょう。

そんな彼が、会社の社長から「ワカプーギー湖で今度行われる競技会に参加してくれ」と頼まれます。

しかし彼は「釣りのプロ」面をしていながら実は一度も釣りをしたことがなく、魚を触るのも嫌という

ただの頭でっかち野郎だったためになんとかして参加したくないとゴネるんですが、

その社長経由で彼にオファーをしてきたワカプーギー湖にあるロッジの社長令嬢と広報係の二人の女子に

「私たちが教えるから」と説得され、渋々承諾。

そりゃあね、若くてかわいい女子が二人がかりで「私たちが手取り足取り教えるわよ(はぁと)」なんて言われたら

おっけーしますよね。最終的に最も男性の好きなスポーツが頭に浮かびますからね。(意味深)



ただオープニングで描写されるんですが、その彼女たちとロジャーはちょっと曰く付きの出会いをしてしまったために

ロジャー自身はあまり良い印象を持っておらず、特に広報係の方の女子(アビー)に対してはことあるごとに

「後で絶対殺してやる」と独り言を言うという物騒な状態。これがまた笑えるんですが。

そんな感じで最悪の出会いから体面を繕うために協力を余儀なくされる男女が、

いろいろ周りを巻き込みつつ交流を深めていくというコメディになっています。



「嘘をついていたのがやらざるを得ない状況に追い込まれ、仕方なく共同作業をさせられる」という流れはベタでもあり、

また笑い自体も結構ベタな部分はあるんですが、しかしどうしてめちゃくちゃ面白いんですよこれが。

もう単純に「水に落ちるって面白いなー」って思ったよね。もう。超ベタだけど超笑った。

なんでかなーと振り返って思ったんですが、まずフリがしっかり利いているのが大きい気がしました。

そもそもこの映画を観ようと思ったのは紹介番組の予告を観てだったんですが、その予告でも水に落ちるシーンって観てるんですよ。

で、「なんかベタなコメディっぽいけどタイトルすごいし観てみるか」って感じで録画したわけですが、

知ってても笑っちゃうっていうのはやっぱり作りが巧みなのかなぁという気がして。

あからさまに「あ、落ちるね」ってわかるようなフリがあるんですが、逆に言うとそれで期待しちゃうわけですよ。

「落ちるぞ落ちるぞキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!」みたいな。

期待にしっかり応える清々しいまでの勢いがまず好きでした。



で、当然それだけじゃなくてですね。ちょっとシュールな笑いとかも織り交ぜられてます。

もう本当にどうでもいい、そこで笑いを拾いに行く必要があるのかというような場所でも細かく笑いを拾いに行く貪欲さもあって、

まーとにかくサービス精神旺盛で2時間ずっと楽しませてもらいました。

そのサービス精神の象徴としては、やっぱりロジャーの勤め先の社長と、ワカプーギー湖でうろつく

謎の族長的な存在(マジで目黒祐樹なんじゃないのかと思ったぐらい目黒祐樹似)のお二方ではないかな、と。

もうね、本当にお腹いっぱいになるまでこの二人を活用してくるんですよ。これでもかって。

このお二方にはコメディ界の骨付きカルビの称号を与えたい。よくわからないけど。

骨のギリギリまで肉をそぎ取って食べさせてくれるかのようなサービス精神、みたいな。



僕自身もまさかこんなに古い映画の、しかもコメディでここまで笑える、楽しめるとはまったく思っておらず、

鑑賞後は興奮状態になっていたほどめちゃくちゃ楽しめましたね。「最高だわこの映画!」って。

主演のロック・ハドソンも「この時期の二枚目」らしい、いかにもアングロサクソン系二枚目っぽい王道の佇まいだったので、

その雰囲気から来るベタなコメディに対するギャップでまた笑いを増幅させていたのもミソじゃないかと勝手に思いました。

ダメだよあんな人が勢い良く水に落ちたら。そら笑うよ。何度も期待しちゃうもの。「また落ちねーかなー」って。

いい男だけど中身がない感じは若干我らがおヒューに通ずるものもあり、そこがまた僕としてはツボでした。



相手役のポーラ・プレンティスも初めて観ましたがこれまたすごく魅力的で、

ちょっとネジが外れ気味な部分はあるものの、それがまたスキにつながるかわいさで見事に映画を引っ張ってくれましたね。

同じく若かった頃のシャーリー・マクレーンにちょっと似た雰囲気のコメディ適正を感じました。



他にも唐突な(メタファー的な表現ですが)列車のシーンや、いきなりのエンディングに新鮮な驚きもあり、

「この映画新しいなー!」と思わず唸ったんですが公開は50年以上前という。恐ろしい。

なぜかWikipediaにも項目がないややマニアックな映画っぽいですが

(この辺は「テキサスの五人の仲間」にも通ずるものがある気がします)、

観る機会があったらぜひ観て頂きたい映画ですね。

僕もタイトルすらまったく聞いたことが無い映画だったんですが、これほどまでの傑作だとはまさに衝撃を受けました。

某Amazonで調べても日本版のDVDすら見つからないというなんとも不遇なタイトルなのが惜しまれます。

手元に置いておきたい…! 元気が無い時に何度も観たい…!



【このシーンがいいぜ!】

タイポグラフィを駆使した映像から始まるオープニングがまずとてもオシャレで良かったです。

「結局男はスポーツに打ち込んだところで最終的には女〜♪」的な歌詞も最高。



他にも社長初登場となる社長室でのやり取りや、期待通りにスカッと水に落ちる魚釣りのシーンも最高。ほんとに笑った。



【ココが○】

今のコメディと何が違うのかと言うと…まあ僕もよくわからないんですが、やっぱり時代的に変にこねくり回さず、

ストレートに面白いと思うものをぶち込んできている潔さ、みたいなのはある気がします。

上で書いたように、勢いがあるしサービス精神旺盛だし。

もうね、終盤むくれてる社長の登場シーンとかズルいですよ。

あれ「絶対その必要ないじゃん」ってツッコミながら笑いましたよ。本当にズルい。最高。



【ココが×】

唯一、アビーが最初からなぜロジャーに惹かれているのか、っていう部分だけはちょっと引っかかりはしたんですが、

まあ言ってみればロマコメですからね。その辺はご愛嬌というところなんでしょう。



あとはもう文句なしですが、もう一つ…この映画自体の問題ではないものの、

DVDにせよレンタルにせよ、おそらくなかなか観る機会を作りにくいというのはすごく残念だしもったいないと思います。

今調べたらTSUTAYA DISCASにすらなかったので、それこそまたBSででも放送してくれるのを待つしかないかも…。

血迷ってブルーレイで復刻、とかしてくれないかなー。



【MVA】

特に良かったのは上に挙げた、ロジャー役のロック・ハドソン、アビー役のポーラ・プレンティス、

そして社長と目黒祐樹の4人かなと思います。

どの人もとても良かったんですが、一人選ぶならこの人でしょう。



ポーラ・プレンティス(アビゲイル・ペイジ役)



彼女にとっては最も成功した役の一つだったようで、そこまでスターになりきれなかった女優さんのようですが、

しかしこの映画での彼女はとてもとても良かったと思います。

やや大げさなぐらい表情豊かで、少し頭のネジがゆるみ気味で良い感じにスキがあるキュート女子、

っていうのはもう弱いオッサンだらけでしょう。オレだよオレ。

彼女あってのこの映画だと思います。




映画レビュー699『インファナル・アフェア』


今回はNetflixより。

この続編2本の配信終了が迫っているので観てみたんですが…結局続編は観る前に配信終了が来てしまい、無念。

でも前からこの映画も観たかったのでまあ良いかなということで。

ご存知「ディパーテッド」のリメイク元映画です。

※ジャンル作るのが面倒だったのでドラマにしていますが、実際はサスペンスかと思われます。



インファナル・アフェア
Infernal Affairs
監督アンドリュー・ラウ
アラン・マック
脚本アラン・マック
フェリックス・チョン
出演トニー・レオン
アンディ・ラウ
アンソニー・ウォン
エリック・ツァン
ケリー・チャン
音楽コンフォート・チャン
製作国アメリカ
公開2002年12月12日 香港
上映時間102分
インファナル・アフェア












【あらすじ】

同じ警察学校に通った二人、ヤンとラウ。

ヤンは潜入捜査官としてマフィアに入り込み、ラウはマフィアから警察に潜入するために送られた人間だった。

それぞれがそれぞれの“仮の姿”で地位を高めていく中、ある取引をきっかけに双方が組織内にいるスパイの存在に気付く。



【総評】★★★★★★★★★☆(★9)


エンディングに東西思想の違いが出ていて面白い。


なにせ僕が「ディパーテッド」を観たのももう結構前のことなので細部はかなり忘れているとは思うんですが、

ただ思い出す限りでは…「ディパーテッド」は基本的にはだいぶこの映画に忠実な内容だったような気がします。

特に終盤までは舞台とヒロインの扱い以外は概ね同じような印象でした。

が、その終盤の違い…要は後味に関わる部分がまったく違うので、そこが面白いな〜と思いつつ。

どちらかが良いのかは難しいところですが、結末に関しては僕はこっちの方が好みでした。

「ディパーテッド」でモロに指摘していた「楽な方に逃げた」展開ではなかったので。

ただこっちは(最初からそういう想定だったのかはわかりませんが)3部作、「ディパーテッド」は1作で完結なので、

その辺で整合性を取るためにああしたというのも理解できます。

むしろ気になったのは上映時間の方で、ほぼ同じでありながら「ディパーテッド」は1.5倍になっているのがちょっと不思議。

別に間延びしたような印象もなかったので、やっぱりヒロイン(ヴェラ・ファーミガ)の部分とかで膨らましたせいなんでしょうね。

他にも重要なキャラの違いがあるんですが、この辺は結末に関わってくるのでネタバレ回避のために割愛します。



「ディパーテッド」を観た方には説明不要だと思いますが、一応ご説明。

オープニングはサム…「ディパーテッド」で言うところのジャック・ニコルソンが演じていたマフィアのボス、

彼が若者たちに演説しているところから始まります。

その演説を聞いている若者の一人がラウ。後に警察学校に通い、サムのスパイとして警察に入り込む男です。

「ディパーテッド」ではマット・デイモンが演じていましたが、こちらではアンディ・ラウが演じます。

対するヤンは、警察幹部に優秀な才能を見出され「幹部二人しか知らない潜入捜査官」として裏社会へ。

数年の他組織への潜入捜査を経て、3年前からサムの組織に入り込んで捜査を続けている、という状況。

こちらは「ディパーテッド」ではレオナルド・ディカプリオ、今作はトニー・レオンが演じます。

余談ですが若い頃は二人とも別の役者さんが演じていて、ラウはまだイメージが近かったのでいいんですが、

ヤンは急に印象が変わるので結構ビックリ。お前誰だよ感アリ。



すでにオープニングの時点でヤンは上司との電話で「あんたがやってみろ!!」とブチ切れており、

もう潜入捜査はウンザリながらいまだに続けさせられているという状況。サムからも信頼されているようで、右腕的なポジションにいるようです。

対してラウは順調に警察での信頼を勝ち得ているようで、出世街道まっしぐら。

まあどっちも順調に周りを騙して来てるよね、という感じ。

その二人がそれぞれに情報を提供し合う中、ある一つの取引の日に「ついにサムを捕まえる時が来た」と警察は本腰を入れて捜査に向かい、

サム側はサム側でラウの情報を元になんとか逃げおおせようというところで、それぞれが「組織の内部にスパイがいるらしい」ことに気付き、

いよいよ双方のマジバトルが始まりまっせ、というお話です。

なお、ヤンとラウはお互いちょっとした面識はあるんですが、もちろん双方がスパイはおろか何をしているかも知りません。



全体的にはさすがハリウッド…と言って良いのかわかりませんが、

見せ方という意味では「ディパーテッド」の方がうまかったような記憶はあります。

役者さんへの親近感もあるでしょうね。ディカプリオにマット・デイモンですからね。

それと中国語と英語の違いも大きい気はします。やっぱり英語の方が耳馴染みもあるし、語弊がある言い方かもしれませんが邪魔にならない感じで。

ただあまり観ていないアジア映画の割に、重要キャラと言えるウォン警視(ディパーテッドにおけるマーティン・シーン)に

たまたまこの前観た「冷たい雨に撃て、約束の銃弾を」で印象的だったアンソニー・ウォンが出ていたりして、ちょっと盛り上がったりもしました。

そして何よりヤンを演じるトニー・レオンですよ。すげーかっこいいの。

「二枚目!」って感じじゃないんですけどね。脱力系のようでいて実力がある感じというか、僕の好きなタイプのかっこよさで。

彼のお陰でかなり鑑賞意欲が湧いた部分はあったと思います。もっといかにもなアジア系の俳優さんだったら辛かったかもしれない。

ちょっとある種かわいい雰囲気なんですが、でもカッコイイっていうのが良くて。

「奥田民生とユースケ・サンタマリアを足して2で割って良い遺伝子だけ取り出した」感じでした。(わかりにくい



物語としてはやはりどうしても一度観ている内容なので、そこまで「どうなんねんどうなんねん…!」というようなドキドキ感は無かったんですが、

ただ知っていた割にはかなり集中して楽しめたし、やっぱり改めてすごく良くできた話なんだな、と納得。

こちらはあちらと比べるとかなり男臭い、女性の影が薄い硬派な映画になっているんですが、

その分尺が短めのせいか途切れない緊張感で一気に見せてくれます。

いわゆる「香港ノワール」の代表作と言える映画だと思いますが、僕が事前に予想していた「香港ノワール」のイメージよりも

より現実的で観やすい印象もあり、そこもまた良かったのかなと。って個人の印象なんでアレですが。

「冷たい雨に撃て、約束の銃弾を」の方がノワール感があった気がする。

それが悪いというわけではなくて、イメージ勝負ではない実力勝負感が気持ちよかったというか。

思わせぶりな感じで引っ張るようなこともなく、「お互いにスパイがいる」という単純な構図をきっちり肉付けして見せてくれる感じで。

文句なしに面白かったですね。



一番の違いとなるエンディングについてはネタバレになるので避けますが、そこの部分の違いはかなり大きなものだと思うので、

両方見比べてどっちが好きかを考えるのもまた一興ではないかと思います。

Netflixからは続編が無くなってしまいましたが、いつかぜひ続きも観たいですね。

「ディパーテッド」と近い物語なだけに中国系アジア映画の入り口としてもかなり観やすいので、

よりいろんな映画を観たいぞ、というような人にもオススメできるのではないでしょうか。面白かったよ!

機会があったらぜひ。



【このシーンがいいぜ!】

タクシーのシーンでしょうか。

似たようなシーンは「ディパーテッド」にもありましたが、

こっちの方が見せ方、衝撃度でだいぶ上だった気がします。あのシーンはすごいし素晴らしい。



あとオープニング直後のオーディオショップのシーンもすごく良い。最後まで観て良さがわかる感じ。



【ココが○】

エンディング以外で言えば「ディパーテッド」におけるヴェラ・ファーミガのポジション(精神科医)の違いが一番大きい気がしましたが、

あの映画のような三角関係にせず、あくまで男同士の対決のお話になっているのがとても良いなと思います。

とは言え三角関係にするのであればヴェラ・ファーミガっていうチョイスが最高なんですけどね。あれはあれでいいけど、っていう。

やっぱり(どういうプロセスだったかは忘れましたが)ポコチン出ちゃったシーンとかを思い出すと、

「ディパーテッド」はやや軽かったような気がしますね。良くも悪くも娯楽に寄っているというか。

こっちはマジでマジなマジもんだぜ、みたいなマジ感がいいぞ、と。(意味不明



【ココが×】

とは言えエンディングの違いはかなり好き嫌いが分かれるであろう気もするので、そこが人によってはダメかもしれません。

でもよほどアジア系映画に抵抗がなければまず外さない名作と言っていいと思います。

正直、こっちを先に観たかった…。



【MVA】

アンディ・ラウもアンソニー・ウォンも良かったんですけどねー。でもやっぱりこの人でしょう。



トニー・レオン(ヤン役)



マフィアに潜入する方の主人公。

もう本当にカッコイイんですよ。人に好かれる感じのイケメンで。

ジリジリとした焦りの演技もとても良かったです。

トニー・レオンってレッド・クリフ出てたよなぁ…と思ったんですが、

やっぱりああいう日本で言うところの時代劇的な扮装をしてると全然違いますね。

現代風だとこんな感じなのかー、と驚きました。



それと余談ですが、一番の悪役であるサム役の人、「悪い小堺一機っぽいなー」と思って観ていましたが、

Wikipediaの彼の項目に飛ぶとダブルピースの写真でお出迎えしてくれるという素敵さがグッと来ました。マジ余談。




映画レビュー698『サイレント・ランニング』


もーね、本当に毎週レコーダーがカツカツなんですよ。

少し前からBSプレミアムの映画番宣も録画してちゃんと観るようになったら余計に録画本数が増えました。

ということで優先的にBS録画からの鑑賞が増えます。

今年はちょっと古い映画欲が強くなっているんで良いんですけどね。

やっぱりなかなか侮れない映画を流してくれるBSプレミアムはイイ。

そんなわけで本日はこちら。



サイレント・ランニング
Silent Running
監督ダグラス・トランブル
脚本デリック・ウォシュバーン
マイケル・チミノ
スティーブン・ボッコ
出演ブルース・ダーン
ジェシー・ヴィント
クリフ・ポッツ
ロン・リフキン
音楽ピーター・シャイケル
主題歌ジョーン・バエズ
『Rejoice In The Sun』
製作国アメリカ
公開1972年3月10日 アメリカ
上映時間89分
サイレント・ランニング












【あらすじ】

地球上の植物が絶滅し、人工的にすべてが管理されている近未来。

宇宙では再び植物を繁殖させようと3隻の宇宙船に取り付けられた温室ドームで植物栽培が行われていた。

しかしその事業も廃止が決定、遊び半分で参加していた3人は地球への帰還を喜ぶが、

彼らとは対照的に熱心に栽培に取り組んでいた男、フリーマン・ローウェルは

育てている動植物を核爆弾で破棄せよという司令に激昂し…。



【総評】★★★★★★★★☆☆(★8)


心に残る切な系アメリカン・ニューシネマSF。


地球上の植物が滅んでしまった近未来、その植物を再度繁栄させるための事業を宇宙で行っていたものの、

何らかの理由でその事業も中止が決定、真面目に取り組んでいた男がそれに反発する…というお話。

監督はダグラス・トランブル。

あの「2001年宇宙の旅」や「ブレードランナー」の特撮を手掛けた方として有名な方だそうですが、

今作が満を持して(?)の初監督作品となったようです。が、興行的には様々な理由により失敗してしまった模様。

ただ評価は高いぞ、ということで期待して観ましたが、なるほどこれは確かに良い映画でした。



主人公はブルース・ダーン演じるフリーマン・ローウェル。

宇宙で行われている植物栽培事業に最も熱心に取り組んでいるものの、

それ故にまったくやる気のない遊び気分の同僚3名からは変人としてやや疎まれているようです。

ぶっちゃけ見た目的にも二枚目というわけでもなく、非常に地味で。なんとなく逆説的に「良い映画なんじゃね?」と期待させる感じ。



あらすじでもわかる通り、地球では植物が絶滅してしまっている近未来…ということで、

だいぶ後発ですが「インターステラー」の世界にかなり近い、あまり望ましくない(と思える)未来が描かれていますが、

ただこちらの世界では「植物は滅んだものの地球は人工的に管理されている」ので、植物がないからと言って特段問題はないようです。

食事も人工物のみで完全供給がなされているようで、正直世界観的にはなぜこの事業が行われているのかは割と謎なような。

別に困って無さそうですからね。一応念のために植物も研究しておくか、ぐらいの感覚だったんでしょうか。

もちろん現代人としては「植物のない地球はアカンやろ」と思いますが、ただ気温も完全管理されてかなり快適らしいセリフもあるので、

感情論を抜きにすれば特に植物にこだわる必要も無さそうな世界ではある気がします。



だからこそ、なんでしょうが、この事業は映画開始早々に廃止が決まります。

「いやー、やっとくだらない仕事から開放されて地球に帰れるぜー」ってな感じの同僚3人を尻目に、

一人熱心に植物の必要性を説いていた主人公・ローウェルは反発するわけです。

「植物を栽培している温室ドームはすべて核爆弾で破壊してから帰ってね」と言われた彼らはそれを粛々と進めますが、

そのドームにはローウェルが手塩にかけて育てた植物はもちろん、植物と共生する小動物や鳥たちもいて、

果たしてこのまま事業を放棄していいものなのか…と観客にも問いかけつつ、ローウェルは一つの決断を下す…というのが前半戦。

これ以降はあんまり書いちゃうと興を削ぐので概要はここで終わり。ワリオーです。



まずこの映画のスペック的にはですね、おそらくは低予算映画なんだと思いますが、地球のシーンは皆無で宇宙のシーンのみです。

もっと言えば、宇宙船内部の温室ドームとその他生活スペースが大半で、あとは申し訳程度に宇宙船外のシーンが入る程度。

で、「2001年宇宙の旅の特撮を手掛けたダグラス・トランブルが監督!」と言いつつも完全に重力とかは気にしないスタイルを取っているので、

「宇宙モノの映画」として観ると少々安っぽいのは否めません。時代的なものを考慮してもチープであるのは否定出来ないところでしょう。



ただ、そのチープさがですね。逆に味になっていてイイなと思うんですよ。

1970年代の映画ですが、なんなんでしょうね、この時代らしいチープ感というか。

古い映画が好きな人にはたまらないチープさだと思います。

そういう時代的なチープさは、この映画における重要キャラと言えるヒューイ・デューイ・ルーイという

3体のロボット(劇中ではドローンと呼ばれています)に如実に現れていて、そこがまたものすごく良いんですよ。

このロボットのチープさ、拙い感じがこの映画の最も重要な雰囲気を表現していて、

その「デキの悪い雰囲気」みたいなものがものすごく染みるんですよね。

その雰囲気のおかげで愛らしさも増すから感情移入も助けるし、頼りなく見えるおかげで不安感も増して先行きが気になるしで。

このロボットたちの描き方、使い方は本当にうまいなと思いました。

ちなみにヒューイ・デューイ・ルーイはご存知の方も多いでしょう、かの大スターアヒル・ドナルドダックの3匹の甥っ子の名前です。

僕もねー、少年時代すごく好きだったんですよ。「わんぱくダック夢冒険」。

それだけに余計にグッと来た…というわけでもないんですが、

とにかくこの3体のロボットの描き方がこの映画のイメージにかなり寄与していたことは間違いないと思います。



またこのロボットの歩き方になんとも言えない愛嬌を感じるんですよ。一生懸命歩く感じが。

鑑賞後にそのからくりを知りましたが、これはきっと余計な情報になってしまうので割愛しておきます。

ただ、このロボット3体はかなりこの映画における重要な存在だったというのは重ねて伝えておきましょう。

手足こそあるものの、顔に該当するような構造はまったくないんですが、でもそこに人間性を感じさせる表現がたまらなく、

また彼らを擬人化して見られるようにすることで映画の物語が膨らむ、というとても大切な存在でした。



最初に書いた通り、舞台背景としては「インターステラー」を感じさせる映画ですが、

低予算かつ“切な系SF”としては「月に囚われた男」の源流も感じる映画だと思います。

上に書いたような「ロボットの擬人化」という視点のおかげでより主人公の孤独が深まる雰囲気もすごく「月に囚われた男」っぽい。

なので、この辺の映画にピンとくる人は観てみると良いかも…と思いますが、

ただそれよりも僕は最後まで観てこの映画はアメリカン・ニューシネマの一種じゃないか、という気がしたんですよね。

アメニューの定義とか全然詳しくないんですけど。でもそう思ったんですよ。

狼たちの午後」とか「俺たちに明日はない」とか、ああいう映画に似た感覚を覚える映画だったな、と。ある意味で反体制的な主人公なわけだし。

ラストシーンはとにかく印象的で、見終わった後もしばらく心がこの世界に残ったままでした。

こういうエンディング、好きなんですよね…。



上記のようにチープさが目立つことは否めなかったり、やや後半部分が長い気もしたりして、

やっぱり時代的なマイナスポイントも無かったわけでは無いんですが、それでも良い意味で先がイマイチ読みにくく気になる物語ではあったし、

何より全編通してどことなく儚く切ない雰囲気が通底しているSF感、これはもう個人的にたまらないものがありました。

「超名作」とまでは言えませんが、好きな人はものすごく好きになれる映画なんじゃないかと思います。

僕としても面白さ以上に心に残る物語だったし、きっとこの映画は忘れないなーと思います。

機会があったらぜひ。



【このシーンがいいぜ!】

ベタだけど…「埋葬」のシーンかなぁ。あとはヒューイとデューイのシーンはどこもなんとなく淋しげな良さがありましたね。



それとまあ…言わなくてもわかるでっしゃろ的に、ラストシーンはすごく良かったと思います。

終盤まで来ればきっとこういう終わり方をするんだろうな…とわかりきっている終わり方なんですが、良かった。



【ココが○】

いろいろと価値観を含ませた話だと思うんですよ。

主人公の選択(序盤と終盤の2つ)にしてもそうだし、植物と地球の関係とかもそうだし。

ただ、それについて声高に良いの悪いのを言うような感じに作ってないんですよね。

あくまで読後感というか観後感というか…観客の余韻のために価値観を使っているだけで、

そのこと自体に対して良いとか悪いとかメッセージを込めていない、その作り方がすごく良いなと思います。

観ている人を信頼して、その人の感じることが正解だから考えてくださいね、というような作りに見えて、

ここがまたすごく好きだなと思います。



【ココが×】

やっぱりチープなところは避けられない点でしょう。

上に書いたように美術的なチープさは逆に味になっていると思いますが、やっぱり宇宙空間らしからぬ重力の押し切りっぷりは

いくら低予算とは言えもうちょっと頑張ってほしかったなーと思います。

あと爆発シーンがやっぱりちょーっと不満でした。ボワッと丸が広がるだけ、っていうのはなぁ…。

爆発シーン自体がかなり重要なので、贅沢な客だとは自覚しつつももう少しグッとくる見せ方が欲しかった気はします。



【MVA】

まあこれは…観ればわかりますがこの人以外ほぼ選びようがないので。



ブルース・ダーン(フリーマン・ローウェル役)



主人公。

結構アクの強い役者さんな気がしましたが、そのおかげで逆に信念を持っている感じがよく出ていたような気がします。




映画レビュー697『ときめきサイエンス』


BS録画より。

80年代B級コメディとして最高っぽい雰囲気を感じて録画してみましたが…。



ときめきサイエンス
Weird Science
監督ジョン・ヒューズ
脚本ジョン・ヒューズ
出演アンソニー・マイケル・ホール
イラン・ミッチェル=スミス
ケリー・ルブロック
ビル・パクストン
音楽アイラ・ニューボーン
ジミー・アイオヴィン
製作国アメリカ
公開1985年8月2日 アメリカ
上映時間94分
ときめきサイエンス









【あらすじ】

モテとは無縁の冴えない高校生コンビ・ゲイリーとワイアットは、ある日「パソコンを使って理想の女性を作ろう!」と思い立つ。

実際にやってみたところまさかの大成功で理想的なセクシー美女が誕生、おまけに彼女は望むものを何でも作り出せる能力を持っていて…。



【総評】★★★★★★☆☆☆☆(★6)


つまらないけど無下にできない。


先に感想を言ってしまえば、「つまらないけど嫌いじゃない」系の映画という感じ。

もう想像以上にB級な内容の映画だったんですが、それが不思議とある種のかわいさみたいなものを醸し出していて、

やっぱりこれはなんとも80年代らしい映画だな、と80年代映画大好き人間としては嬉しくなる感じでもありました。つまらなかったけど。



主人公の二人組、ゲイリーとワイアットはいわゆる「イケてないDT二人組」ってやつですね。この手のお話ではよくいるタイプ。

それぞれに意中の女子はいるもののまったく相手にされておらず、むしろいじめられるタイプなので声をかけることすらままならない感じ。

ある日ワイアットの家の両親が出かけたので二人で泊まりで遊ぼうと集まり、

仲良く映画「フランケンシュタイン」を観ていたら触発されるわけです。

「よし俺たちもイイ女作っちゃおうぜ!」と。もう頭の中エロいことだらけなんでしょうね。まあこの頃の男子なら想像に難くないところ。

僕の歳でも頭の中はエロいことだらけですからね。男なんてそんなもんです。

で、買ってもらったという今からするとエラい年代物のドデカイパソコンを使い、なぜか頭にブラジャーを被って念じるように作業を進め、

そしてまたエラい年代物な画面を見せつけられながらもなぜか大成功ということで、

年頃の男子なら近くにいるだけでボッキモンという理想の女性・リサが爆誕。

彼女は思うがままに好きなものを生み出せるという…大人のドラえもん的な感じでしょうか。表現からしていやらしいですね。

そんな人なので、いきなり高級車を作り出し、二人を連れてバーまでドライブ。

未成年でおまけにいじめられっ子の二人は酒の場に尻込みしつつも、リサと酒の力で徐々に調子に乗っていくんですが、

ワイアットの家に戻ると二人の天敵・ワイアット兄がいて…というようなお話になっております。



ジャンルとしては…SFコメディ青春ファンタジー映画という感じでしょうか。

根本は間違いなくコメディなんですが、この時代の映画らしい良くも悪くもごった煮で味も気にせず世に出しました感がスゴイ。

もう細かいところを突っ込みだしたらキリがないお話なので、いかにもB級な青春映画として時代を懐かしむ感じで観るのが良さそう。

これリアルタイムで観てたらとんでもないダメ映画だったような気がします。

実は若き日のロバート・ダウニー・Jrが「ロバート・ダウニー」名義でいじめっ子役として出演しているんですが、

今観ていると彼にとっての黒歴史感がすごい。この映画の話したら怒るんじゃねーの的な。どうなんでしょうか。真相は不明です。



一応は青春映画の側面があるだけに、メインのお話としては主人公のDT高校生二人組の成長物語になってはいますが、

ただどうにも全体的に荒唐無稽なのであんまりその辺で心を動かされるようなこともなくてですね。

ぶっちゃけしょうもない話を延々と観ているだけ、という映画ではありました。だからつまんないんですよ。くどいようですが。

スカッとすることもなければウルっとくることもないし、かと言ってコメディとしても特段笑えるわけでもないし。

でも彼らは(最もそれが頭にあるはずなのに)安易にセックスに走らないし、ドラッグの類も出てこない、

終始“愛すべきDT少年”でい続けてくれるので、そこがなんとも愛らしいというか。つまらないけど愛したくなる映画とでも言いましょうか。

同じように冴えない少年だった元少年としては、ただ「つまらない映画だなー」で終わらせるにはもったいない、

あまりにも愛おしい二人のバカさ加減がたまらない映画ではありましたね。



多分こんなことを感じたのは僕だけだと思うんですが、目の前に「理想の女性」が出てきたにも関わらずエロに走らない、

っていうのはどこか「電影少女」っぽい気もして、そこがまたちょっと無下に出来ない感じがあって。

コメディ版電影少女みたいな。話は全然違うんですが。

ちなみに「電影少女」は僕が当時唯一買っていたマンガ雑誌である週刊少年ジャンプにおいて、史上最も興奮したマンガでですね。

当然おかず事情にも恵まれていなかった頃なので、それはもう何度もお世話になったもんですよ。ああお世話になったさ。

大人になって懐かしさから思わず愛蔵版を買って読んだら興奮するどころか思いの外いい話で号泣した、という思い出のマンガです。



話が逸れました。

まあ他に特に語ることもない、今となってはロバート・ダウニーJrの若かりし頃ぐらいしか見所のない映画だとは思いますが、

昔の自分をちょっと覗き見るようなむず痒い感じもあって、悪い映画じゃないなぁという気がします。

つまらなかったんですけどね。



【このシーンがいいぜ!】

悪い奴らが撤収するところがですね。なんというか…今時では絶対見られないぐらいに潔いアッサリ展開で、そこが今観ると新鮮で良かったですね。

お前らプライドないんかい、っていう。

この辺も時代を感じて楽しい部分でしょう。素直な感じが新鮮っていう。



あとはお爺ちゃんとお婆ちゃんのシーンがもう完全にホラーで、違う意味で印象的でした。婆ちゃんの笑顔が怖すぎる。



【ココが○】

もうとんでもなくバカバカしい話でしか無いんですが、主人公二人は終始いい奴らのままで真面目なんですよね。そこが良かったと思います。



【ココが×】

結論としては面白くはないのでそこが最大の欠点でしょう。

腐せない魅力があるとは言え、今あえて観るべき理由はないです。



【MVA】

本来であれば“理想の女性”リサ役のケリー・ルブロックなんだと思います。

若干時代は感じるものの、いわゆるセックスシンボル的な雰囲気はお見事でした。

ただ、物語上最も活きていた人となるとこの人かなと思います。



ビル・パクストン(チェット・ダネリー役)



いわば一番悪役っぽい、主人公ワイアットの兄。

なーんか観たことあるなーと思ってたらビル・パクストンだったとは…。今年亡くなっちゃったんですよね…残念です。

いわゆるものすごいマッチョ思考の軍人で、おまけに弟からカツアゲするという最低の兄貴なんですが、

そのムカつく雰囲気がとても良かったんじゃないかなと思います。この人がいなかったらもっと冴えない映画になっていたような気がする。

終盤の謎展開も良かったです。




映画レビュー696『目撃』


〈突然プチレビュー/ルーク・ケイジ〉

少し前ですが観終わったのでプチレビュー。

「デアデビル」「ジェシカ・ジョーンズ」に続くマーベル連続ドラマシリーズの第3弾になります。

銃弾もロケット弾も効かない“最強の皮膚”を持つ男、ルーク・ケイジの過去と現在いろいろ。



今回は「ジェシカ・ジョーンズ」と違って最初から面白そうだぜ!

…と思って観ていたら逆に後半かなり失速した印象で、

某お方(悪役)が離脱した辺りからかなり質が下がっていったような気がしないでもない。

もっと言えば某お方(善人)が離脱した頃がピークだった気がする。3話とかだけど。

全体で言えば…★5ぐらいかなぁ。

正直「ディフェンダーズ」(ドラマ版アベンジャーズ的なもの)が無ければ観なくていいレベルだと思います。

今思えば文句垂れてたジェシカ・ジョーンズの方がよっぽどワクワクしたよーな。キルグレイブが良かっただけに。

以下簡単なまとめ。

●味のある渋めの男たちが軒並み序盤にリタイアし、残るのは薄っぺらい人たちだらけで微妙。

●特にラスボスの安っぽさったらない。どう見ても小物だし賢そうな雰囲気がまるでない。

●過去の話を結構織り交ぜてきてはいるものの、そこまで深い「能力を持つに至るまで」の過程が

 描かれているわけでもないのでイマイチ盛り上がらない。

●基本的にルークは防御系の能力者だけにバトルが地味。

●最も見せるべきラストバトルがアッサリ過ぎる&結末が消化不良のために1シーズン終わっても気分が晴れない。

●オープニングが「ルークがスローでパンチするだけ」という驚異的な地味さ。

●暗躍系の線が特に無く、大体表でいがみ合ってる話ばっかりなので深みがない。

●そして当然のように舞台が暗い。



とまあいろいろ理由があり、正直かなり微妙。つまらなかったわけではないんですが。

ただこれも世間では高評価なので、好みの問題かもしれません。

イマイチ絵的に惹きつけてくれる人がいないのも辛かった気がする。

なんというか一言で言うと「華のないドラマ」だった…。



ということで本編はまたもBS録画より。

というか最近古い映画の方が観たい気分なので配信終了が来ない限りはBS多めになる模様。



目撃
Absolute Power
監督クリント・イーストウッド
脚本ウィリアム・ゴールドマン
原作デイヴィッド・バルダッチ
出演クリント・イーストウッド
ジーン・ハックマン
エド・ハリス
ローラ・リニー
スコット・グレン
デニス・ヘイスバート
音楽レニー・ニーハウス
製作国アイルランド・フィンランド
公開2011年 アイルランド
上映時間90分
目撃












【あらすじ】

老齢ながら腕利きの泥棒であるルーサーは、ある日政界の大物サリバンの邸宅に忍び込み、大量の貴金属や現金を盗む。

さあ帰るかというところで留守だったはずのサリバンの妻・クリスティがアメリカ大統領のアランを連れて

部屋に戻ってきてしまい、あろうことか不倫をおっ始めようとしたことで出られなくなってしまう。

やむなくその場で息を潜めて待っていたルーサーだったが、おっ始めるはずだった二人はいざこざから殺し合いに発展、

クリスティは大統領の危機を聞きつけたシークレットサービスに射殺されてしまう。

証拠隠滅を図るシークレットサービスと首席補佐官は決定的証拠を部屋に残して去っていき、

ルーサーはそれを拾って逃走するのだった。



【総評】★★★★★★★☆☆☆(★7)


後半超失速。


今からちょうど20年前に作られた、クリント・イーストウッド監督・主演のサスペンス。

最近のヒューマニズムに訴えるドラマ系映画とは違い、純粋なサスペンス映画として作られているのが

なかなか今のイメージからすると違って面白い気がします。

主人公の腕利き泥棒はご本人が演じていますが、共演陣がまたなかなか豪華で、

殺人事件の中心人物と言えるアメリカ大統領役にジーン・ハックマン、

そして「殺人の実行部隊」である彼のシークレットサービスにスコット・グレンと

「24」のパーマー大統領役でおなじみのデニス・ヘイスバート。

翌日現場検証にやってきた刑事のお偉いさんがエド・ハリス、

そして彼の相棒らしき女性刑事になんとパーマー大統領の奥さん、シェリー・パーマー役でおなじみの

ペニー・ジョンソン・ジェラルドまで出てくるという。この人映画で初めて観ました。

んで、物語のキーマンの一人でもあるルーサーの娘役にローラ・リニーというメンバー。

ローラ・リニーは「ハドソン川の奇跡」でもトム・ハンクスの奥さんやってましたよね。

この頃からイーストウッド組だったんですねぇ。

その他リチャード・ジェンキンスなんかも顔を出しているという、

なかなか通好みなメンバーがお送りする今作の概要から。



クリント・イーストウッド演じる老齢泥棒のルーサーが、

とある大物政治家の大邸宅に忍び込み、大量の貴金属に大金までゲットしてお帰り…の予定が、

突如として帰ってきた大物政治家の奥さん(クリスティ)と、彼女と不倫関係にあると思しき

ジーン・ハックマンを連れてイチャイチャし始めましたよ、と。

ただこのジーン・ハックマン演じるアランがまあ変態男でして、

「どうだ激しいのが興奮するんだろビッチ!」とぶっ叩いて放り投げてと荒々しく襲いかかるわけですよ。

それに「あんたおかしいよいい加減にして!」とブチ切れたクリスティが、ナイフを持って抵抗しようとしたところ

いわゆるガチの殴り合いに発展していってですね。もうセックスどころじゃないぞと。違う興奮状態だぞと。

ってことでクリスティがまさにナイフを振り上げ殺してやるー!

ってところで間一髪シークレットサービスが踏み込んでクリスティを射殺してしまいます。

そう、シークレットサービスがついていることからもわかる通り、変態親父のアランは大統領だったわけで、

大統領が自分の後見人である大物政治家の嫁さんと不倫した挙句に殺しちゃったよ、

なんて言うのはとんでもないスキャンダルなだけに、警察に言おうというシークレットサービスの意見は無視して

首席補佐官のグロリアはもみ消し工作を画策するわけですが、しかし彼らが気付いていない存在が一人。

そう、ルーサー…!

宝物庫的な場所から一部始終を観ていたルーサーは、彼らが置き忘れていった証拠品のナイフを持って逃走、

早々にナイフの存在に気付いた彼らに追われることに…というお話です。



泥棒が大統領の犯罪を見てしまって追われる、というお話はなかなか面白そうだな、と思って観ることにしたんですが、

時代故なのか想像していたような大統領側の強大な権力による執拗な追跡、みたいなものは特に無くてですね。

なんつーか、普通に犯人と目撃者みたいなあんまり緊張感のない戦いに警察が絡んでくるだけ、的な展開だったので

その辺がちょっと設定を活かしきれてないもったいなさみたいなものは感じました。

ただ、さすがにクリント・イーストウッドの映画だけあって、不思議と飽きずに観られる展開力は安定感があり、

「振り返ると大した話じゃなかったけどそこそこ惹き込まれたなー」というちょっと面白い感覚を抱く映画だった気はします。



一応、ルーサーは「証拠を持って帰ったがために追われる」立場であり、

また大統領側が泥棒がいたという事実も知らない時点で「強盗の仕業ということにしよう」と画策したことで、

強盗=犯人と目する警察と、証拠を消し去りたい大統領側の双方から追われる状況になるんですが、

ルーサーはルーサーで高飛び直前に見た大統領の記者会見に頭に来て「この男(大統領)許すまじ!」と

義憤にかられて闘いを挑むような構図になっていく上に、

さらに奥さんをルーサーに殺されたと思い込んでいるサリバンからも刺客が送られたり、

そこにさらにルーサーの弱みとして(ありがちですが)疎遠の娘が狙われたりと、

ルーサーを中心にそれぞれの思惑がバチバチに交錯する展開は結構先が気になるお話ではありました。



ただ、終盤のいわゆる解決編的な展開ではちょーっと勢い任せでお決まりのシーンが登場したり、

という若干丁寧さに欠けるような印象を持ったのも事実で、いわゆる「イーストウッド映画」的な

深みのある感じではないかなぁ、という気がします。

決してつまらないわけではないんですが、もう一歩「うおー!」っていう展開が欲しかったな、と。

ですが、最初に書いたように今の時代から観ても(というか今の時代から観たら、かも)なかなか

豪華でいぶし銀なメンバーが集っている映画なので、その辺に価値を見出だせる人であれば一見の価値はあるかもしれません。

特に「24」ファンは歓喜するんじゃないかなー。

一緒に出ているシーンは無いとは言え、おそらくパーマー大統領とシェリー・パーマーが共演している映画は

これ一本だと思われるので、なかなか感慨深いものがありました。



【このシーンがいいぜ!】

これはやっぱり中盤の見どころであるカフェのシーンですかねー。

緊張感たっぷり、先が気になるいいシーンでした。



【ココが○】

やっぱりキャストが一番の見所だと思います。

ジーン・ハックマンも引退しちゃいましたしね…。

ジーン・ハックマンのシークレットサービスがスコット・グレン、っていうだけで結構グッと来るってもんですよ。



あとは最終的な満足感は別として、謎解きではないだけにあまり頭を使わずに観られる映画でありつつも

それなりにサスペンスとして惹きつけてくれる、というお疲れのアナタになかなか優しいサスペンスですよ、

ってなところでしょうか。



【ココが×】

全体的にはテンポも良くて不思議と飽きさせない映画ではありますが、

オープニングの泥棒に入ってから不倫→殺人事件までが妙に長い。

その後のテンポが良かっただけに…緊張感を持たせたかったのもわかるんですが、惜しいところ。



あとは上にも書いた通り、もう少し「大統領が追い詰める」部分をえげつなく観たかったなー。

大統領の割に正攻法というか…まあ事件が事件なだけに権力を使えないというのもわかるんですが、

もうちょっと追い詰める力量が欲しかったところ。



【MVA】

そんなわけで実力派の揃ったこちらの映画、誰にしようか悩んだところ…この人!



エド・ハリス(セス・フランク役)



事件担当の敏腕刑事。

エド・ハリスの“良い役”を久々に観た気がして嬉しかったんですよね。

地味な役ではあるんですが、正統派の刑事としてきっちり締めてくれた感じが良かったです。




映画レビュー695『ダブリンの時計職人』


引き続きNetflix配信終了間近シリーズ。

公開時に観たいと思いつつ、しかし随分渋い映画を劇場公開するのねと思った一本。



ダブリンの時計職人
Parked
監督ダラ・バーン
脚本キーラン・クレイ
原案ドミニク・ライト
出演コルム・ミーニー
コリン・モーガン
ミルカ・アフロス
音楽ナイアル・バーン
製作国アイルランド・フィンランド
公開2011年 アイルランド
上映時間90分
ダブリンの時計職人












【あらすじ】

イギリスから故郷のダブリンに戻ったフレッドは、職も住まいも見つからず、車で生活をするホームレスになっていた。

ある日、彼が“暮らす”海岸の駐車場に、同じく車で生活する青年・カハルが移住してくる。

二人は次第に仲良くなり、一緒に街へ出かけたりする友人となっていくのだが…。



【総評】★★★★★★★☆☆☆(★7)


セリフ少なめの味わい深いヒューマンドラマ。


主役のホームレス中年男性を演じるのはコルム・ミーニイなんですが、

僕はかの「ウェールズの山」以来この人はなーんか気になるんですよね。

印象的な顔をしているせいもあるんでしょうが、なんとなくこの人がいると良さそうな映画に観えちゃうという謎の存在感があって。

レイヤー・ケーキ」でもこの人の存在感は素晴らしかったと思いますが、

そんなわけで「コルム・ミーニイ主役とか渋すぎるし観たいぞ」ということで気になっておりましたこちらの映画。

まずは概要でございます。



トイレで体を拭いて風呂代わりにし、車(マツダ車というのがナイス)で寝泊まりする中年男性・フレッド。失業中です。

何度か失業保険の申請をしてはいるものの、「定住地が無い」ことを理由に断られ続けるという厳しい状況。

そんな中、彼が暮らす海岸駐車場に一台の車がやって来て、どうやら彼と同じようにここで「暮らす」ことを選択した模様。

その彼の名前はカハル。フレッドとは違って前途洋々と思われる若者ですが、父親と仲違いしてこの生活を選んだとのこと。

しょっちゅうマリファナを吸ってます。いわゆるジャンキーに近い感じ。

最初は悪いやつなんじゃ…と思わせる感じですが、実際は人懐っこい良いヤツで、

あまり多くを語らないフレッドとも次第に打ち解け、一緒にスポーツクラブへ通ったりと次第に仲良くなっていきます。

やがてカハルのおかげで前向きになってきたフレッドはスポーツクラブで知り合った未亡人ピアニストに

淡い恋心を抱き始め、徐々に再び人生が回り始めていくのですが…。

というお話です。



タイトルは「ダブリンの時計職人」となっていますが、劇中特に時計職人でした的なセリフはありませんでした。

原題は「駐車場」的な意味っぽいので、ちょっと邦題に違和感を感じなくもないです。悪い邦題ではないんですけどね。

おそらく邦題を知らなければ、何度か挟まる時計を直す描写を観て「ああきっと時計職人的なことをやってたのね」と理解するような感じで、

実際のところは何をしている人だったのかよくわかりません。

セリフでも「(仕事は)いろいろやった」ぐらいにしか言ってないし、ずっと時計職人だったのか、

はたまたいくつかやった仕事のうちの一つに時計職人があったのか、というのもわからない感じ。



…と、こんなのはどうでもいい話なんですが、この映画はそういった「説明不足」感というか、

状況を説明するセリフがかなり少ない印象でした。

カハルも親と喧嘩したことは言うもののその詳細については語らないし、

フレッドの恋愛話もかなりあっさりしていて、進行具合もイマイチ伝わってきません。



が、それが良かった。

最小限のセリフながら丁寧に状況を見せるシーンが続くので、観ている方としてはいろいろ考えながら観る楽しみがあります。

「ああ、きっとこうなったんだな」とか「多分これはこういうことなんだな」と推測して確認しながら観ていく感じ。

人によっては不親切だと感じるかもしれませんが、物語自体がかなり大人向けの地味なお話だったこともあり、

対象年齢を絞って絞ってしっかり見せ、考えさせる映画として作っているぞ、という意識がしっかり見える映画だと思います。



いわゆる社会的弱者の友情と成長とその他のお話になりますが、話の進み方も嘘くさくないし、

ヘタに煽ったりもせずにしっかり丁寧に物語を見せてくれるので、地味ながらじわじわと染み入る味わいのある映画でしたね。

いかにもヨーロッパらしい映画だし、いかにも地味で大人向けだしで、

どちらかと言うと映画もしくは人生中級者以上向けと言えますが、その絞った作りだからこその味わいはやっぱりなんとも言えず、

じんわりウルウル来る場面もチラホラ。

恋愛にしても男女ともに相当なお年を召した二人の話なので、浮ついた感じも嘘くささも無くて真っ当。

真面目な人がちゃんと作った映画なんだろうな、という感じ。そしてそれが良い。



ただ説明不足故に気になる箇所もいくつかあって、例えばフレッドはホームレスの割に小綺麗な服を何着も持ってたりだとか、

若干所持金の不安を吐露する場面もあるものの、とは言えしょっちゅうコーヒーを買ってきたりスポーツクラブに通ったりして

生活環境以外ではそんなにお金に困ってる風な描写がなかったりだとか、

ところどころ引っかかるような部分がいくつかあって、そこはちょっともったいないかな、という気はしました。

まあ、おそらくは監督が描きたい本筋以外の部分はバッサリ切って、最低限の要素で作るようにしたのかな、と思います。



なにせ主演を見てもわかる通り、かなり地味な映画なので人も観るタイミング(眠くならないときがいいでしょう)も

選ぶとは思いますが、こういうヨーロッパ映画が好きな人であれば間違いなく何らかの余韻が残る映画だと思います。

盛り上がりも無いです。本当に淡々と、登場人物に寄り添うお話。

でも僕はこういうヨーロッパの真面目な映画好きですね。

不器用でうまく行かず、「いかにも人生」というほろ苦いストーリーはいろいろと考えさせられるものがあります。

お酒を飲みながらしんみり観るには良い映画ではないでしょうか。



【このシーンがいいぜ!】

終盤は思いの外感情が高まってしまい、どのシーンも結構うるうる状態。

中でもあの人(ナイショ)との会話はキタな、やっぱり…。ここでも語りすぎない大人のやり取りがすごくグッと来ました。



【ココが○】

やっぱり「自分が踏み出せない一歩を踏み出すように勢いを与えてくれる友」の大切さをすごく感じて、

人とのつながりって大事だよな、と改めて考えさせられました。

散々語り尽くされたテーマではありますが、「歳をとっても人は変われるぞ」というメッセージを

丁寧に見せてくれた感覚がすごく好きでした。



【ココが×】

上に書いた通り、若干ですが説明最小限であるが故に気になる部分はあるので、細かい部分には目を向けないのが良いんでしょう。

あとは本当に地味で真面目な映画なので、難易度は高めかなと思います。



【MVA】

主役と言える3人は皆さんとても良かったんですが、少々悩みつつ…この人かな。



コリン・モーガン(カハル役)



フレッドの元へやって来るご新規ホームレスの青年。

ジャンキーというのは置いといてもそこはかとなく漂う危うさ、脆さみたいな雰囲気がとても印象的でした。

でも人を引っ張る魅力もあるという…なかなか複雑な人物をきっちり演じていたと思います。



余談ですが、コルム・ミーニイはなんとなく晩年のジーン・ハックマンっぽい雰囲気になってきましたね。

ジーン・ハックマンは引退しちゃいましたが、この人はまだまだ頑張っていただきたい!




映画レビュー694『冷たい雨に撃て、約束の銃弾を』


この前なんとなくヒット数を確認したら、前日の来訪者が0でした。0。ゼロ。

ゼロ目の当たりにするの初だなーと思いつつ、会社でちょっとニヤニヤしてしまいました。

噂ではどこのブログもGoogleとかのプログラムが巡回している、

つまりヒット数すべてが人間ではないという話を聞いたことがあるんですが、

逆に言えばもはやここはプログラムすら来なくなったという…ものすごいレアなブログになってきましたね。

おかげで誰にも遠慮せずに好き勝手書けます。平和で何よりです。



冷たい雨に撃て、約束の銃弾を
復仇
監督ジョニー・トー
脚本ワイ・カーファイ
出演ジョニー・アリディ
シルヴィー・テステュー
アンソニー・ウォン
ラム・カートン
ラム・シュー
音楽ロー・ターヨウ
バリー・チュン
製作国香港・フランス
公開2009年8月20日 香港
上映時間109分
冷たい雨に撃て、約束の銃弾を












【あらすじ】

夫と二人の子どもが自宅に帰宅した直後に射殺され、自身も撃たれながら奇跡的に生還したアイリーン。

彼女は彼女を見舞いに来た父・フランシスに復讐を頼む。

娘の願いを聞き入れたフランシスは、ある3人のプロフェッショナルを雇って犯人探しを始めるが…。



【総評】★★★★★★☆☆☆☆(★6)


後半超失速。


あるいは裏切りという名の犬」他ウルサイタイトルシリーズの一つ…と思って観てみましたが、

あの辺と特に関係はありません。まあ邦題付けた人(配給会社)が同じなんでしょう。

同様にフランス映画なのかと思っていましたが実際は半中・半仏映画という感じでしょうか。

というよりも中身は中国映画で主役がフランス人なだけ、って感じ。

ただ出て来る言葉は英語とフランス語と中国語(広東語)で、主役が主役なので割合「洋画」っぽいイメージで観られます。

でも舞台は中国…という結構ややこしい感じですがあんまり気にしないで観ていいでしょう。

むしろその半中半仏な感じが新鮮で面白かった気もします。現代中国が舞台の映画もあんまり観てないだけに余計に。



さて、その主役ですが…出ましたよジョニー・アリディ。ワタクシジョニー鑑賞久しぶりです。

そう、あのやたらと心に残った「列車に乗った男」以来。

彼の役どころはレストランのオーナー…なんですが、拳銃の扱い一つを取ってもどうやら過去が“只者ではない”様子。

そんな彼に復讐を頼む娘役がシルヴィー・テステュー。これまた久しぶりです。

エディット・ピアフ~愛の賛歌~」以来に観ましたが、彼女の印象は「ビヨンド・サイレンス」が強いかなー。

「ルルドの泉で」を観たいんですがなかなか機会がありません。

諸々誰も聞いてねーよ、って話で紙幅を埋めております。



シルヴィー・テステュー演じるアイリーンは、詳しくは語られませんが…おそらく国際結婚なんでしょうね、

中国人らしき旦那さんと息子2人の4人で幸せそうに暮らしていたわけですが、

夫の帰りを待ち伏せしていた男3人組が突如として家にやってきて銃をぶっ放し、

アイリーン自身が応戦するもやられてしまい、結果的に夫と子どもは殺され、

自身も会話ができなくなるほどの重傷を負います。

そこに見舞いにやってきたジョニー・アリディ演じる父・フランシスに、新聞記事の文字を指差しながら復讐を懇願。

受諾したフランシスは、たまたま居合わせた殺人事件の現場で顔を知ったプロの殺し屋3人に

自らの全財産と引き換えに仕事を依頼、以降4人で行動をしながら犯人探しを進める…というお話。



「犯人が3人組、依頼したプロも3人組…これはもしや…!!」という安っぽい嫌な予感も当然のごとく外してくれ、

中盤まではかなり良い感じで観ておりました。

このフランシスが依頼したプロ3人がすごく良いんですよ。

3人組としてはありがちな構図ではあるんですが、めちゃシブでカッコイイリーダー格の男に、

ソツがなく実力も高そうな男、そしてコメディ的な存在感で物語に奥行きを持たせるおデブさんというチーム。

それぞれに見所もあるし、プロフェッショナルらしい仕事ぶり、男としてやっぱりそうだよね的な価値観と、

いやこりゃなかなかいいプロ雇ったねフランシス、と思いながら観てました。

当然フランシスもアウトローを演じさせたらフランス一(おれしらべ)と呼び声の高いジョニー・アリディですからね。

レストランのオーナーとか言ってるけど絶対手練だろ感がすごく、これまたゲキシブ。

よーく観ると寛平ちゃんみたいな顔してるんですけどね。猿顔で。でも渋いんですよこれが。さすがジョニー。

プロ3人組も当然フランシスが只者ではないだろうことはすぐにわかるので、

やっぱり完全に信用して良いものかどうなのか…そこはかとなく緊張感が伝わります。

その緊張感と次第に近付いていく関係性の描き方がとても良くて、男の映画的にすごく期待を持たせる前半戦でした。

テンポも良くてこりゃいいぞ、っと。



で、実は割と犯行チームは割とあっさり目に見つかり、そこからのお話が本番になるんですが…

その本番以降がかなり失速した印象で、「ううーん、これはちょっと…もったいない」という感想。

一番感じたのは、フランシスには持病というか…ある特性があるんですが、その描き方が不器用というか。

その特性が中盤以降急に物語の核に置かれるんですが、その割に序盤のフリが軽すぎて唐突な感が強いし、

急激にその特性に合わせた話に強引に持っていっている感じがしちゃって、

終盤はかなり無理のある話になってしまった気がします。例のごとくネタバレなので書けないんですが。

印象としては中盤まではフィルム・ノワール風ハードボイルド映画、終盤一気にハードボイルドファンタジーって感じ。



そんなジャンルがあるかは知らん!



ただ、そのプロフェッショナル3人の描き方は本当にワクワクする良さがあったし、

ボスによるいきなり謎の熱烈キスシーンが登場したりするという、

今まで観ていた映画とは違った表現や価値観が観られて、これはこれで面白い、

洋画主体の人間としては変わったものに触れる楽しさはあった気がします。

数年前であればその違いが違和感になったような気がするんですが、

今回は不思議とその違いが面白く感じられ、逆に引き込まれるような部分がありました。

それだけに…終盤の展開がものすごくもったいないと思うんですけどね…。



例の三部作と比べると、ジェラール・ドパルデュー衝撃の膨張ぶりを見せつけた

いずれ絶望という名の闇」よりは面白いかな、と思います。

フランス系ハードボイルド映画がお好きであれば観てもいいかな、と言ったところ。



【このシーンがいいぜ!】

これはもう「雨の階段」のシーンですね!

汚いアパート風で雑多な背景も良かったし、階段をうまく使った戦い方も新鮮でした。

あと最初の4人での会食のシーンも良かった。



【ココが○】

プロと元プロの信頼関係の醸成、みたいな部分はかなり好みでした。

中盤までは本当にすごく期待を持って観られたと思います。中盤までは、ね…。



あとプロのいとこの設定が好き。

ひどいあばら家に住んでて冷蔵庫とか炊飯器に武器を隠してるあの感じ。



【ココが×】

そんなわけでね。終盤ですよ。

具体的に書いちゃうとこれまたネタバレになるので書きませんが。

その展開にするが故の“特性”の描き方、その辺からしてちょっともったいない。



【MVA】

もっと出てくるのかと期待してたんですが、シルヴィー・テステューはチョイ役でしたね。

ジョニー・アリディもさすがの存在感で良かったんですが、この映画はこの人かなと思います。



アンソニー・ウォン(クワイ役)



雇ったプロのリーダー格。

理想のプロフェッショナル像的な佇まいがかっこよかったですねぇ。

他の二人はいかにもローカル俳優っぽい感じでしたが(失礼)、この人だけは国際俳優! って感じで。

雰囲気からして格の違いが出ていてよかったな、と。




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